- 「広報」や「編集」の概念を常時アップデートしていく感じで -


という話を千葉にあるお洒落なコワーキングスペースで書いています。作業はあまり捗ってはいませんがいいところです。

おしゃれオフィスで働いたときに上がる能力は “(事務) 作業” の “スピード”

というのは、20代をウェッブ業界のきれいでクールなオフィスで過ごしてきた人間の体験談です。今でも千葉市のオシャレコワーキングスペースにはときどき行ってます(千葉市民が使うにはオシャレすぎて落ち着きませんがいいところです)。


まず、作業効率に関してですが、これはプラスになると実感しました。

データ入力、資料の大枠作成、イメージからデザインラフや原稿ラフへの落とし込みみたいな類の作業においては、速度も精度も上がると思います。

オシャレ系オフィスにはそれぞれ特長のあるスペースが複数箇所設けられているため、作業が一区切りついたら自分のお気に入りスペースに移動したり、ソファで雑誌読んだり卓球したりして気分転換するみたいな自由があります。卓球台は卓球するより机や棚として使われてる説もありますけど。

この「場所を変えるという小さなインセンティブ」効果はなかなか大きいので、大企業とかがたまにコワーキングスペースで仕事することを認めたりする制度はどんどんやればいいと思っています。わたしは入ったことがない某広くてクールでかっこいいオフィスで働いている後輩も「気持ちの切り替えがしやすい」と言ってました。

もう少し掘り下げて考えると、こまめに環境を変えられるということは「脳を飽きさせない」、つまりは「テンションを高く保つ」という意味を持ちます。事務作業とかはテンションが低いと重くのしかかってくるものなので、取り掛かったり手早く済ませるためのニンジンがあると捗るという話だと思います。

しかし、アメリカのチームに移籍するだけで高く翔べるわけではないように、空間によるプラス効果はまやかし程度のものでしかありません。ここまでの文章でさんざん「オシャレ」「クール」「かっこいい」などと並べたところでわたし自身はかっこよくなれないどころかなんか痛い感じになってるというような話です。

人がクリエイティブになる効果は、オフィスの “空間” より “空気” にある

成果物のクオリティを上げるために最も大切なのは圧倒的に“コミュニケーションの質と量”だと思っています。オシャレなスペースで一人もくもくと作業するより、狭いオフィスでも出社してあーだこーだ話し合いながらつくるほうがいいものが生まれると思います。

実空間はもちろん、デスクトップや Slack をカスタマイズしてバーチャルオフィスを盛り上げるのもいいんですが、企画や編集、デザインなどはリアルのほうが強いかなぁと。エンジニアのハマったとこ相談は Slack でスシと共に流すほうがいいかもしれんけど。:sushi:

あと、事務作業においても創造力が必要な仕事においても“テンションを上げる”ことは大切ですが、テンションを上げる効果は、卓球台やかっこいい机よりも“一緒に働くメンバー”のほうが大きくないですか。 あと、必要以上に失敗を責めないとか、ヘッドホンで音楽聴きながら仕事できる(+声かける前にチャットツールで「今話しかけて大丈夫?」とかマネージャーが配慮してくれるとか)みたいな”企業文化”。

もしあなたが経営者で、「どんなオフィスにしたら社員のパフォーマンスが上がるだろう」と悩んでいる場合、細かなインテリアや空間設計を考えるよりは

[1] 社員にとって自宅やそこらのカフェよりは「作業が捗る」「好きな一角がある」空間にすること

[2] できれば作業スペースに複数の選択肢があること(一時的なリモートワークを許可する制度などもいいですね)

[3] そもそも会社に行く気がなくなるような無駄なルールを減らすこと

[4] 建設的な議論や楽しい雑談ができる、いいメンバーを集めること

のみ注力してくださるほうが、結果的にはいい「空間」になるのではないかと思います。

--

ここまでは、「かっこいいオフィスにいると単純作業の能率アップ効果はあるけど、それ以上の意味はあまり感じないし、インテリアとかより一緒に働くメンバーや企業文化のほうが大切だよね」という話をしてきました。ここからは、世にあふれている「なんちゃってオシャレオフィス」の問題点や、本当に働きやすいオフィスおよび意味のある取り組みについて述べていきます。

…みたいな文章、とにかくクソ長い記事を出しまくってるキュレーションメディアとかアフィブログとかに多くてげんなりするんですけど、なんで別の記事にして内部リンクで飛ばさないんですかね。

まぁこの記事でもここから続けるんですけど。 いや一気に読んだほうがいい内容だという判断しただけですよ。べつに別に SEO とかではなく(関連記事ってそんなに読まれませんしね)。


これは千葉のオシャレコワーキングスペースで定期的に開催されているワイン会での写真です。あんまりまっとうにやってないキュレーションメディアの編集部やアフィブログ講座とかでは「途中に画像をたくさん入れて滞在時間を伸ばせ」みたいなノウハウが共有されているらしいですね。知らんけど。

メリットだけでなく UX として考えても別に間違ってないと思うんですけど、今まで500回くらい見たフリー画像とか、インスタからパクってきた画像とか貼るくらいならやめたほうがいいと思うんですよね。(なお当ブログのフリー素材以外の画像は私の著作物ですので無断転載された場合は使用料を請求し以下略)

で、酒の瓶を見て思ったんですが、かっこいい感じのオフィスってよく酒のボトルをインテリアとして飾ってあるじゃないですか。でも インテリアとしてモエとかウーヴ・クリコとかボンベイサファイアとか置くのはちょっとダサくないですか? オシャレ貴族ならそんなベッタベタなボトル置かないし。

という小話を挟んだところで、「かっこよさアピールしてるオフィスの問題点や失敗しないためのチェックポイント」の話にいきます。

「とにかく働きやすい! 生産性が大幅にUP!」みたいに掲げているオフィスの問題点4つ

1. 海外文化を“外側だけ”なぞった結果…では意味ない

そもそも、なぜオフィスがオシャレで、いろんな施設、インテリアを揃える必要があるのでしょうか。

チームラボ猪子さん:カラオケルームやプールバーがあるオフィス。ああいうのはポーズですよね。オフィスは仕事するためにあるのに。オフィスがお洒落でしょっていうため。隣にもっといいバーがある

ヤフー川邊さん:シリコンバレーは何もないからオフィスの中にあっても便利だからあるだけ

引用: http://togetter.com/li/321904?page=2

そう、少なくとも都市部にオフィスを構えていれば、マッサージ師もバーテンダーも会社からドアドア数十分のところに待っていてくれます。ベンチャーとか何のために渋谷・六本木にいるのかと。

で、まさかこのご時世に「定時まで仕事して、リフレッシュスペースで一息ついて、また終電まで仕事してもらう UX だよ、ガッハッハ」みたいなことを堂々と仰る経営者はいないことでしょう。少なくともあと数年は勇者が出てこないはず。

オフィスにこの施設あるっていいなと思ったのは「託児所」くらいです。赤坂見附にあるサマーインターンで有名な会社の。

2. バーカウンターとかの効果は、”部室”感があるときくらいでは

最近ではかっこいいオフィスといえばバースペースやカフェスペースが標準装備になっています。定期的に社内で飲んでコミュニケーションを活性化する効果があると言われますが、個人的には「15人規模のスタートアップが全員で飲むなら部室っぽくて盛り上がりそうだけど…」って感じです。

やっぱり会社組織は30人とか50人を超えるといろいろ派閥みたいなグループにわかれていきます。人間関係が複雑になると、「部署をまたいで飲み会だー!」とコミュニケーションを強制する施策が悪手になったりしますよね。

そもそも、バーカウンターがなくても、ほとんどの社員が帰って閑散とした執務スペースで残った社員が内緒話…とかありますしね。

3. 最も “コミュニケーションを活性化させる” 効果がある空間は喫煙所

上記を踏まえた上で「じゃあ偶発的に良質なコミュニケーションが起こりやすい環境をつくろう」っていろいろ試す会社も多いです。

たとえばどこに座って仕事をしてもいいというフリーアドレス制。しかし、“結局は固定アドレスになってしまう問題”というものがあります。

フリーアドレス制にすると「偶然にも隣や対面が役員だった! 意外と会話がはずんだ!」みたいな偶然を演出できるといわれていますが、上述の通り、人間が数十名も集まると、日常的に話す相手は固定化します。

結果、「偉い人の横には偉い人だろ」「おっさんだから女子の隣に座ると○○ハラとか言われそう」「○年入社組で集合! お互いライバルなのでギラギラしてたりもしますが、とても仲良しです!(そして集合写真を Facebookにあげる)」みたいな力学、「同じプロジェクトやってるんだからいつでも話せるように集まるだろjk」みたいな電磁気学で紐解けるようなサムシングが生まれ、固定アドレスができあがっていきます。

結局、会社の中で最も偶発的に良質なコミュニケーションが起こりやすいのはタバコ休憩だと思います。たまーに同行する程度の非喫煙者でも効果を実感しました。

あとはメンバーをランダムで選んでランチや飲み会いかせるみたいな社内制度ですかね。ただ全額会社支給にしないと「なんで仲良くもない奴と強制的に食事行かされて自腹なんだよ」と不満が出がちです。会社のお金でスシ食いたい。:sushi:

4.「慣れるとありがたみがなくなるよね」という万能ロジック

わたしは美人に3日で飽きたこともなければスシなら5日連続で食ってもいいですが、富山県出身ということで海やら山やら雪景色やらに関してはごく当たり前の存在になっており、ありがたみは特に感じておりません。

移住ブームの近年では、海に憧れて沖縄に移住した人が海に飽きて出ていく、みたいなことも増えているらしいですね。

「移住者の9割は、近くに美しい海がある生活に憧れて沖縄に移住しますが、だいたい半年ほどで海に近づかなくなります。どれだけ魅力を感じていたとしても、3年もたてば見慣れてしまい、飽きてしまう人がほとんどです」

出典:「夢の沖縄移住生活」のまやかし…8割は本土へ戻る、生活コスト高く地元住民とトラブルも

まぁ実際そうだと思いますよ。 人は時間の経過、つまり新たな体験によってアップデートされるから、人との交流は新鮮味が失われずテンションを上げてくれる。しかし、オフィスにあるような”モノ”は時間経過によって物理的に劣化するだけなので、新鮮味が失われると効果が小さくなっていく。

余談ですが、つまり話しててもつまらんおっさんとかはアップデートが終了した存在、壁とか村人Aみたいなもんなんですよね。いつも「ここは千葉市じゃ。魅力的な街なんじゃ」「若いうちは苦労を買ってでもしたほうがいいぞい」「そんなことを言ってたら社会で通用しないぞい」「酒は飲むと減るんじゃ」「お前に都合のいいように定義した本当の何かについて語るとお前に都合のいいように話を進められるんじゃ」としか言わないおじさんとかね。

いいからもっと無邪気に、新しくできた寿司屋の話とかをしよう。:sushi:

変に騙されることがなくなるから、経験としては無駄にはならないけどね

昨今では、若い人間が遠距離通勤をしていたり、普通にサラリーマンをやってるだけで「消耗してる」とか煽られる時代になっています。地方で育った人間って東京で消耗してるほうが少数派なんですけどね。

で、あのPRこそどれくらい効果あるのかわかりませんけど、求人広告とか採用PRの一環で「このオシャレなオフィスに一度遊びにきませんか?」「細部まで計算され尽くしたかっこいいオフィスで、生産性がぐんと上がります!」みたいなアプローチは未だに少なくないと感じています。

そういえば僕も若い頃はああいう訴求にまんまと心動かされた瞬間があったかもしれない。仕方ないよね20代の前半は意味も理由もなく「空間デザイン」みたいな言葉に惹かれたりするものですよね。本気で勉強してた人たちに謝れと。

ただ、一回オサレオフィスで働いておくと「あぁ、はいはい、卓球台ね、まぁ標準装備だよね」「で、出た〜〜! みんなの願い事がいっぱい書いてある(志半ばで倒れていった退職者を消し忘れてる呪いの)壁〜〜〜!」みたいに、視点が変わります。良くも悪くも。

オフィスの派手さに惑わされずに確認しておくべきポイント(これはメリットあったっていう経験談)

執務スペースの広さ

よその同様の記事とも完全に一致してますが、何よりも基本はここです。 来客用スペースとか、働く上ではほとんど関係ないですからね。

ウェッブベンチャーのオフィスをPRしあう流れが出てきた5年ほど前から口酸っぱく言われてきてるので流石にそろそろ浸透してきたと思いますが一応これはマストで入れておきます。

PCと椅子のスペック、備品・機材の購入申請制度

イケてる企業は来客スペースだけでなく執務スペースにもちゃんと投資します。作業環境に投資してる企業であれば、複数台のディスプレイは基本として、椅子が高級品だったり、PCが最新型だったり、むしろ自分で好きなものを買ってよかったり、タブレット端末が各自に支給されたりします。

どんなにオシャンティなオフィスでも、5年前のPC+小さいモニタ1つで作業させられると作業効率はあからさまに落ちますからね。

天井の高さと窓の近さ

オフィスに限らず空間すべてに言える話ですが、インテリアとかより「開放感」が圧倒的に大切です。かっこいいスツールがいっぱいあっても、そもそも部屋が狭いと単に息苦しい豚小屋状態です。

窓がなかったり、天井が低かったりする執務スペースは、明らかに生産性が落ちます。

新聞・雑誌

やっぱりタダで読めるのは大きいです。オフィスにいると勤勉スイッチ入るからインプットしようと思えるし(主観)。わたしは会社で読めたおかげで日経MJさんが大好きになりました。

あと、それこそ偶発的な会話のきっかけになることがあります。

若手でも各スペースを遠慮なく使える企業文化

ITベンチャーの闇ですが、意外とガチガチの上下関係がある会社も少なくないので、若手がカフェスペースで仕事してると「席に戻れ」と言ったり嫌な顔をしてくる上司がいる場合、いくら素敵なオフィスでも恩恵は受けられません。

結局、創造性にしても、作業効率にしても、一番密接に紐づいてるのは「企業文化」と「一緒に働くメンバー」だと思います。

「こんなにオシャレで働きやすいオフィスなんだから早く帰るとかないよね?」とか言わない経営陣

結局ね。

--

いかがでしたか? 経験談として、おしゃれなオフィスやかっこいいオフィスにはさまざまな効果や意味がありますが、生産性や作業効率を劇的にアップさせるまでのメリットはないので、悩ましいところです。ですが、一度きれいなオフィスで働きやすい空気を体験すると、失敗しない人生を歩むことができるかもしれません。

こういう締め方もやめような。安っぽいから。

かっこいいオフィスは作業効率こそ上げるけど、創造性には効果あると思えないし、オシャレさの意味を一回考えてみないか


という話を千葉にあるお洒落なコワーキングスペースで書いています。作業はあまり捗ってはいませんがいいところです。

おしゃれオフィスで働いたときに上がる能力は “(事務) 作業” の “スピード”

というのは、20代をウェッブ業界のきれいでクールなオフィスで過ごしてきた人間の体験談です。今でも千葉市のオシャレコワーキングスペースにはときどき行ってます(千葉市民が使うにはオシャレすぎて落ち着きませんがいいところです)。


まず、作業効率に関してですが、これはプラスになると実感しました。

データ入力、資料の大枠作成、イメージからデザインラフや原稿ラフへの落とし込みみたいな類の作業においては、速度も精度も上がると思います。

オシャレ系オフィスにはそれぞれ特長のあるスペースが複数箇所設けられているため、作業が一区切りついたら自分のお気に入りスペースに移動したり、ソファで雑誌読んだり卓球したりして気分転換するみたいな自由があります。卓球台は卓球するより机や棚として使われてる説もありますけど。

この「場所を変えるという小さなインセンティブ」効果はなかなか大きいので、大企業とかがたまにコワーキングスペースで仕事することを認めたりする制度はどんどんやればいいと思っています。わたしは入ったことがない某広くてクールでかっこいいオフィスで働いている後輩も「気持ちの切り替えがしやすい」と言ってました。

もう少し掘り下げて考えると、こまめに環境を変えられるということは「脳を飽きさせない」、つまりは「テンションを高く保つ」という意味を持ちます。事務作業とかはテンションが低いと重くのしかかってくるものなので、取り掛かったり手早く済ませるためのニンジンがあると捗るという話だと思います。

しかし、アメリカのチームに移籍するだけで高く翔べるわけではないように、空間によるプラス効果はまやかし程度のものでしかありません。ここまでの文章でさんざん「オシャレ」「クール」「かっこいい」などと並べたところでわたし自身はかっこよくなれないどころかなんか痛い感じになってるというような話です。

人がクリエイティブになる効果は、オフィスの “空間” より “空気” にある

成果物のクオリティを上げるために最も大切なのは圧倒的に“コミュニケーションの質と量”だと思っています。オシャレなスペースで一人もくもくと作業するより、狭いオフィスでも出社してあーだこーだ話し合いながらつくるほうがいいものが生まれると思います。

実空間はもちろん、デスクトップや Slack をカスタマイズしてバーチャルオフィスを盛り上げるのもいいんですが、企画や編集、デザインなどはリアルのほうが強いかなぁと。エンジニアのハマったとこ相談は Slack でスシと共に流すほうがいいかもしれんけど。:sushi:

あと、事務作業においても創造力が必要な仕事においても“テンションを上げる”ことは大切ですが、テンションを上げる効果は、卓球台やかっこいい机よりも“一緒に働くメンバー”のほうが大きくないですか。 あと、必要以上に失敗を責めないとか、ヘッドホンで音楽聴きながら仕事できる(+声かける前にチャットツールで「今話しかけて大丈夫?」とかマネージャーが配慮してくれるとか)みたいな”企業文化”。

もしあなたが経営者で、「どんなオフィスにしたら社員のパフォーマンスが上がるだろう」と悩んでいる場合、細かなインテリアや空間設計を考えるよりは

[1] 社員にとって自宅やそこらのカフェよりは「作業が捗る」「好きな一角がある」空間にすること

[2] できれば作業スペースに複数の選択肢があること(一時的なリモートワークを許可する制度などもいいですね)

[3] そもそも会社に行く気がなくなるような無駄なルールを減らすこと

[4] 建設的な議論や楽しい雑談ができる、いいメンバーを集めること

のみ注力してくださるほうが、結果的にはいい「空間」になるのではないかと思います。

--

ここまでは、「かっこいいオフィスにいると単純作業の能率アップ効果はあるけど、それ以上の意味はあまり感じないし、インテリアとかより一緒に働くメンバーや企業文化のほうが大切だよね」という話をしてきました。ここからは、世にあふれている「なんちゃってオシャレオフィス」の問題点や、本当に働きやすいオフィスおよび意味のある取り組みについて述べていきます。

…みたいな文章、とにかくクソ長い記事を出しまくってるキュレーションメディアとかアフィブログとかに多くてげんなりするんですけど、なんで別の記事にして内部リンクで飛ばさないんですかね。

まぁこの記事でもここから続けるんですけど。 いや一気に読んだほうがいい内容だという判断しただけですよ。べつに別に SEO とかではなく(関連記事ってそんなに読まれませんしね)。


これは千葉のオシャレコワーキングスペースで定期的に開催されているワイン会での写真です。あんまりまっとうにやってないキュレーションメディアの編集部やアフィブログ講座とかでは「途中に画像をたくさん入れて滞在時間を伸ばせ」みたいなノウハウが共有されているらしいですね。知らんけど。

メリットだけでなく UX として考えても別に間違ってないと思うんですけど、今まで500回くらい見たフリー画像とか、インスタからパクってきた画像とか貼るくらいならやめたほうがいいと思うんですよね。(なお当ブログのフリー素材以外の画像は私の著作物ですので無断転載された場合は使用料を請求し以下略)

で、酒の瓶を見て思ったんですが、かっこいい感じのオフィスってよく酒のボトルをインテリアとして飾ってあるじゃないですか。でも インテリアとしてモエとかウーヴ・クリコとかボンベイサファイアとか置くのはちょっとダサくないですか? オシャレ貴族ならそんなベッタベタなボトル置かないし。

という小話を挟んだところで、「かっこよさアピールしてるオフィスの問題点や失敗しないためのチェックポイント」の話にいきます。

「とにかく働きやすい! 生産性が大幅にUP!」みたいに掲げているオフィスの問題点4つ

1. 海外文化を“外側だけ”なぞった結果…では意味ない

そもそも、なぜオフィスがオシャレで、いろんな施設、インテリアを揃える必要があるのでしょうか。

チームラボ猪子さん:カラオケルームやプールバーがあるオフィス。ああいうのはポーズですよね。オフィスは仕事するためにあるのに。オフィスがお洒落でしょっていうため。隣にもっといいバーがある

ヤフー川邊さん:シリコンバレーは何もないからオフィスの中にあっても便利だからあるだけ

引用: http://togetter.com/li/321904?page=2

そう、少なくとも都市部にオフィスを構えていれば、マッサージ師もバーテンダーも会社からドアドア数十分のところに待っていてくれます。ベンチャーとか何のために渋谷・六本木にいるのかと。

で、まさかこのご時世に「定時まで仕事して、リフレッシュスペースで一息ついて、また終電まで仕事してもらう UX だよ、ガッハッハ」みたいなことを堂々と仰る経営者はいないことでしょう。少なくともあと数年は勇者が出てこないはず。

オフィスにこの施設あるっていいなと思ったのは「託児所」くらいです。赤坂見附にあるサマーインターンで有名な会社の。

2. バーカウンターとかの効果は、”部室”感があるときくらいでは

最近ではかっこいいオフィスといえばバースペースやカフェスペースが標準装備になっています。定期的に社内で飲んでコミュニケーションを活性化する効果があると言われますが、個人的には「15人規模のスタートアップが全員で飲むなら部室っぽくて盛り上がりそうだけど…」って感じです。

やっぱり会社組織は30人とか50人を超えるといろいろ派閥みたいなグループにわかれていきます。人間関係が複雑になると、「部署をまたいで飲み会だー!」とコミュニケーションを強制する施策が悪手になったりしますよね。

そもそも、バーカウンターがなくても、ほとんどの社員が帰って閑散とした執務スペースで残った社員が内緒話…とかありますしね。

3. 最も “コミュニケーションを活性化させる” 効果がある空間は喫煙所

上記を踏まえた上で「じゃあ偶発的に良質なコミュニケーションが起こりやすい環境をつくろう」っていろいろ試す会社も多いです。

たとえばどこに座って仕事をしてもいいというフリーアドレス制。しかし、“結局は固定アドレスになってしまう問題”というものがあります。

フリーアドレス制にすると「偶然にも隣や対面が役員だった! 意外と会話がはずんだ!」みたいな偶然を演出できるといわれていますが、上述の通り、人間が数十名も集まると、日常的に話す相手は固定化します。

結果、「偉い人の横には偉い人だろ」「おっさんだから女子の隣に座ると○○ハラとか言われそう」「○年入社組で集合! お互いライバルなのでギラギラしてたりもしますが、とても仲良しです!(そして集合写真を Facebookにあげる)」みたいな力学、「同じプロジェクトやってるんだからいつでも話せるように集まるだろjk」みたいな電磁気学で紐解けるようなサムシングが生まれ、固定アドレスができあがっていきます。

結局、会社の中で最も偶発的に良質なコミュニケーションが起こりやすいのはタバコ休憩だと思います。たまーに同行する程度の非喫煙者でも効果を実感しました。

あとはメンバーをランダムで選んでランチや飲み会いかせるみたいな社内制度ですかね。ただ全額会社支給にしないと「なんで仲良くもない奴と強制的に食事行かされて自腹なんだよ」と不満が出がちです。会社のお金でスシ食いたい。:sushi:

4.「慣れるとありがたみがなくなるよね」という万能ロジック

わたしは美人に3日で飽きたこともなければスシなら5日連続で食ってもいいですが、富山県出身ということで海やら山やら雪景色やらに関してはごく当たり前の存在になっており、ありがたみは特に感じておりません。

移住ブームの近年では、海に憧れて沖縄に移住した人が海に飽きて出ていく、みたいなことも増えているらしいですね。

「移住者の9割は、近くに美しい海がある生活に憧れて沖縄に移住しますが、だいたい半年ほどで海に近づかなくなります。どれだけ魅力を感じていたとしても、3年もたてば見慣れてしまい、飽きてしまう人がほとんどです」

出典:「夢の沖縄移住生活」のまやかし…8割は本土へ戻る、生活コスト高く地元住民とトラブルも

まぁ実際そうだと思いますよ。 人は時間の経過、つまり新たな体験によってアップデートされるから、人との交流は新鮮味が失われずテンションを上げてくれる。しかし、オフィスにあるような”モノ”は時間経過によって物理的に劣化するだけなので、新鮮味が失われると効果が小さくなっていく。

余談ですが、つまり話しててもつまらんおっさんとかはアップデートが終了した存在、壁とか村人Aみたいなもんなんですよね。いつも「ここは千葉市じゃ。魅力的な街なんじゃ」「若いうちは苦労を買ってでもしたほうがいいぞい」「そんなことを言ってたら社会で通用しないぞい」「酒は飲むと減るんじゃ」「お前に都合のいいように定義した本当の何かについて語るとお前に都合のいいように話を進められるんじゃ」としか言わないおじさんとかね。

いいからもっと無邪気に、新しくできた寿司屋の話とかをしよう。:sushi:

変に騙されることがなくなるから、経験としては無駄にはならないけどね

昨今では、若い人間が遠距離通勤をしていたり、普通にサラリーマンをやってるだけで「消耗してる」とか煽られる時代になっています。地方で育った人間って東京で消耗してるほうが少数派なんですけどね。

で、あのPRこそどれくらい効果あるのかわかりませんけど、求人広告とか採用PRの一環で「このオシャレなオフィスに一度遊びにきませんか?」「細部まで計算され尽くしたかっこいいオフィスで、生産性がぐんと上がります!」みたいなアプローチは未だに少なくないと感じています。

そういえば僕も若い頃はああいう訴求にまんまと心動かされた瞬間があったかもしれない。仕方ないよね20代の前半は意味も理由もなく「空間デザイン」みたいな言葉に惹かれたりするものですよね。本気で勉強してた人たちに謝れと。

ただ、一回オサレオフィスで働いておくと「あぁ、はいはい、卓球台ね、まぁ標準装備だよね」「で、出た〜〜! みんなの願い事がいっぱい書いてある(志半ばで倒れていった退職者を消し忘れてる呪いの)壁〜〜〜!」みたいに、視点が変わります。良くも悪くも。

オフィスの派手さに惑わされずに確認しておくべきポイント(これはメリットあったっていう経験談)

執務スペースの広さ

よその同様の記事とも完全に一致してますが、何よりも基本はここです。 来客用スペースとか、働く上ではほとんど関係ないですからね。

ウェッブベンチャーのオフィスをPRしあう流れが出てきた5年ほど前から口酸っぱく言われてきてるので流石にそろそろ浸透してきたと思いますが一応これはマストで入れておきます。

PCと椅子のスペック、備品・機材の購入申請制度

イケてる企業は来客スペースだけでなく執務スペースにもちゃんと投資します。作業環境に投資してる企業であれば、複数台のディスプレイは基本として、椅子が高級品だったり、PCが最新型だったり、むしろ自分で好きなものを買ってよかったり、タブレット端末が各自に支給されたりします。

どんなにオシャンティなオフィスでも、5年前のPC+小さいモニタ1つで作業させられると作業効率はあからさまに落ちますからね。

天井の高さと窓の近さ

オフィスに限らず空間すべてに言える話ですが、インテリアとかより「開放感」が圧倒的に大切です。かっこいいスツールがいっぱいあっても、そもそも部屋が狭いと単に息苦しい豚小屋状態です。

窓がなかったり、天井が低かったりする執務スペースは、明らかに生産性が落ちます。

新聞・雑誌

やっぱりタダで読めるのは大きいです。オフィスにいると勤勉スイッチ入るからインプットしようと思えるし(主観)。わたしは会社で読めたおかげで日経MJさんが大好きになりました。

あと、それこそ偶発的な会話のきっかけになることがあります。

若手でも各スペースを遠慮なく使える企業文化

ITベンチャーの闇ですが、意外とガチガチの上下関係がある会社も少なくないので、若手がカフェスペースで仕事してると「席に戻れ」と言ったり嫌な顔をしてくる上司がいる場合、いくら素敵なオフィスでも恩恵は受けられません。

結局、創造性にしても、作業効率にしても、一番密接に紐づいてるのは「企業文化」と「一緒に働くメンバー」だと思います。

「こんなにオシャレで働きやすいオフィスなんだから早く帰るとかないよね?」とか言わない経営陣

結局ね。

--

いかがでしたか? 経験談として、おしゃれなオフィスやかっこいいオフィスにはさまざまな効果や意味がありますが、生産性や作業効率を劇的にアップさせるまでのメリットはないので、悩ましいところです。ですが、一度きれいなオフィスで働きやすい空気を体験すると、失敗しない人生を歩むことができるかもしれません。

こういう締め方もやめような。安っぽいから。