
もしあなたが「ウオッカの味の違いって?銘柄と製法と飲み方とカクテルレシピと激安のおすすめまとめ!」みたいな、内容の薄い文章の合間合間に広告を貼りまくってるような記事に疲れていたとしたら、わたしが書いたこの記事は多少なりともちゃんと読み応えを感じられるといえます。まさに粗悪品のウォッカとベルヴェデールの違いのように。
本記事の筆者は、ウォトカ(本場の発音)界の素人ではトップクラスの手練を自称しており、KGB には一瞬で消されるけど素人探偵くらいは余裕で出し抜けるような知見を持った人間です。
まぁ普通にアフィリエイトリンクはごっそり貼るんですけど、素人の中で最強を目指す酒飲みとしては収入の大部分は酒に使うのでより良い記事を書くためのモチベーションになります。「いったい金なんぞ、いい女と酒に使わんで何に使うのかね?」みたいなことをバルザックも書いてましたし。
世間はウオッカの銘柄・種類になど興味がなくまずいものとさえ思ってるし、Googleはガチのブログ・メディアに厳しい
ブランデーのほうの記事でも同じ話をしてるんですが、「ウォッカにもこんなに種類があるって知ってた? 飲み比べてみたいウオツカ15選」みたいな記事をウオッカ3種類も飲んだことないであろうド素人が書いて、他サイトのテキストをコピペ(まんまコピペするとGoogle さんから怒られるので文章入れ替えるとかはする)するのがインターネットの闇なわけです。
ああいう記事って冒頭から「そもそもウオッカって?ジンとは何が違うの?どうやって作られるの?定義は?」みたいに本筋とは関係ない豆知識をぶっこんでくるじゃないですか。「ウォッカ おすすめ」で検索したユーザーに「そもそもウオッカはこういう風につくられています」とか最初に説明するってコミュ障かよ。余談で冒頭部分を埋め尽くすとかセンスなさすぎやろみたいなこと言ってると巨大なブーメランになってこの記事に跳ね返ってくるのでそれはまぁ置いといて。
仕事で自分とこの記事をパクられたときは速やかに通報したのですが、何度潰しても湧いて出てくる輩はいるもので。
また、調べる人は少なからずいるとはいえ世間はやっぱりさほどウオッカに興味がないので、別にウオッカがうまいかまずいかはどっちでもいいし、「アーハイハイあのアルコール強すぎるやつだよね、スピリタス…だっけ、味なんかないでしょw」みたいなリアクションをされるのが普通です。
Twitter とかでもたびたび「果実をウオツカに漬け込むとマジで美味しいからおすすめ!」みたいなレシピ画像がまわってきますが、ウオツカ好きはあれを観て叫ぶわけです。
『スミノフの赤なんか使うんじゃねぇ! 本気で美味しい酒をつくるならウオツカの銘柄にもこだわりやがれ!』
と。明らかに「ウオツカなんかどれ使っても同じだろうし、そこらの酒屋で売ってて安かったし、それにスミノフってアレだよね甘くて飲みやすいやつ」みたいなパヤパヤしたノリで選んだ感じが出てしまっています。恵比寿の無駄に高いダイニングでサングリアでも飲んでればいい人種じゃないですか。
日本で最もポピュラーな銘柄がスミノフの赤なのですが、バー界隈でも「あれはまずい」「あれはウオツカではなく焼酎」と酷評されているくらい粗悪品なので、「ウオツカを使った自家製果実酒をつくろう♪」みたいな記事でスミノフの赤が使われていたら鼻で笑ってください。 あんなもんつかったら余計なえぐみ出るわ。
そんなやつに「美味しい飲み物」など語る資格はない。そんなやつはベースにウオツカではなくジンやラムを使ったものを代わりに出しても部活終わりの高校生にとってのアクエリアスのようにゴクゴク飲むに決まっておるのです。え、私はポカリスエット派? うるせえゲータレードぶっかけるぞ。
スタンダードなウオッカ(フレーバーではない)で美味しい銘柄とおすすめどころ
さて、ここまではなかなかの文字量を使っているにも関わらず取り乱しっぱなしで 「ウオツカにも銘柄・種類によって味の違いはあるんだよ」「スミノフの赤はまずいからやめたほうがいいよ」 くらいのことしか伝えられていないので、美味しい酒が飲みたくてうずうずしているアル中の我々はそろそろ真面目に対話しないと家庭内・職場内暴力に走ってしまいかねません。まぁロシア人である我々は治安が悪くなったところで保険ビジネスとか始めればいいんですけど。何も起こらずに満期を迎えそうになった人を自分らで襲うみたいなやつ。
ということで本題に。
ノーマルな、ノンフレーバードウオッカは、だいたいフルボトル(700~1,000ml)の価格帯として
- 1,000円~1,500円クラス(味はほぼない、主にカクテルベース用)
- 2.000円~2,500円クラス(ちょっとだけリッチな感じ)
- 4,000円~6,000円クラス(そのまま飲んでも美味しいプレミアムウオツカ)
あたりに分かれます。
基本的に価格帯のクラスはだいたいの味のレベルの目安になりますので、「飲み比べとか違う云々は別にいいからうまいウオッカとやらを飲んでみたい」という感じなら普通に 4,000 円クラスのものを飲んでいけばいいと思います(そういうプレミアムなウォッカがあるということもあまり知られていないので)。バーで飲むとシングル1杯で 1,000 円前後ですかね。
ピュア、クリア系
いわゆるウオツカらしいって感じの銘柄。カクテルのベースとしてはとても使いやすいと思う。
そのまま飲んでうまいかといえば、「一般的には別においしくはない。スピリッツ好きならうまいと感じるものも見つかるかもしれない」という感じ。 一回は冷凍したものをストレートで飲んでみてほしいですが、700mlの大半をストレートで飲むのはおすすめしません。
1. フィンランディア(フィンランド産・1,500円クラス)
酒飲みにとっての「水」です。最もシャープでクリアなウオツカ。
カクテルベースはもちろん、冷凍してストレートで飲むのもおつです。非常にすっきり飲めます。酔います。サウナに入ります。気分はフィンランド人です。
(※ウォッカやジンのようにアルコール度数の高い酒は冷凍庫に入れても凍らないし、冷蔵より冷凍してキンキンに冷やしたほうがすっきり飲めるよ~という補足も入れておきます)
副材料をそのまま生かす場合の、あまり華やかすぎないカクテルのベースなら間違いなくコレ。まったく邪魔せずにアルコールの厚みだけを付加してくれて、余計なことをしません。スミノフ赤みたいにただ雑味・えぐみだけを加えることはありません。
2. アブソルート(スウェーデン産・1,500円クラス)
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これも水です。冷凍したものをストレートで飲むと気分はスウェーデン人です。
蒸留を徹底して不純物抜いてるあたりはフィンランディアと同様ですが、原料はフィンランディアが大麦、アブソルートが小麦。
それくらいのわずかな違いがメーカーの謳う「ドライフルーツのほのかな後味」として出ているのかもしれません。正直ドライフルーツは言い過ぎだと思いますが、フィンランディアに比べると何かしらの後味はかすかに感じます。ただ他の銘柄ほどハッキリした感じではない。
カクテルベースでも間違いはなく、フィンランディアに比べるとトニック、ジンジャエール、柑橘系なんかとは合わせやすいです。
ここでアブソルートではなく同系統の「ストリチナヤ」を紹介するほうが日本に30人くらいいるウォッカ党にはウケがいいと思うんですが、最終的にはアレです、ボトルのかっこよさ。広くおすすめするにはインテリアとしての優秀さも重要な要素になるので。
3. アブソルベント(ポーランド産・1,000円クラス)
日本では有名な銘柄である「ズブロッカ」と同じメーカーの製品で、こちらはフレーバーなどがないクリア系。ズブロッカの知名度に比べると悲しいくらい無名。
7回蒸留して不純物を極限まで取り除いたということで、粗悪品の安物とは違い、アルコール刺激は抑えられています。ストレートで飲むとかすかにグリーン系のニュアンスがあって心地よさがありますが、たぶん気のせいです(はっきり感じるレベルではない)。
1,000円弱の割にはかなりまともな部類だと思います。たぶん価格の違いはあれです、輸入してる代理店の大人の事情。つまり広告・宣伝費の差。
次点. スカイウオッカ(アメリカ産・1,000円クラス)
これもまろやかで飲みやすい銘柄。上3つに比べるとやや穀物の風味を感じるので、ウオツカにシャープさを求める人は微妙に感じるけど、女性にはこのやさしさが受け入れられるんじゃないかという具合。個人的には雑味が邪魔だなあと思う派。
ボトルはかっこいいのでインテリアとしても優秀です。
あとこの価格帯で名前が出なかったところでいうと、(ウィルキンソン、ギルビーあたりのスーパーマーケット御用達銘柄は論外として、)エリストフ、ストリチナヤ、ヴィル・ヴァルゲ、ネミロフ、ソビエスキーあたりか。ストリチナヤなんかは普通に優秀なので代用品にはなると思います。
クリアな中にほんの一癖ある系、ストレートでも美味しい銘柄
ウオッカをカクテルベースとしてのみ使う場合は上記の銘柄を使えばいいですが、単体での味わいを求めるのであればもう数千円払ってプレミアムウオッカを試していただきたい。
ということで、いわゆるプレミアムウオッカを並べました(一癖あるものがこう定義されるわけではなく、個人的な定義です)。ウルトラプレミアムウオッカとか言われることもあるけど、修飾語が2つつくと安っぽくなると思う。
1. ベルヴェデール(ポーランド産・4,000円クラス)
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アルコールのエグみがない、まるい味わい。とにかくまろやか。何も添加していない、蒸留のみでつくられるプレミアムウオッカの中では飲みやすさ随一。ウオッカなので語弊はありますが「やや甘口」です。
おすすめの飲み方はストレート。というより、この子に関してはストレート以外での使い所が正直わからん。カクテルベースだと良さが消えるというか、相性が良いのはイチゴとかモモとか甘い系のごく一部の果実くらいかなーと思う。
トニックやジンジャエール、炭酸系はあまり相性が良くなさそうで、スクリュードライバー(オレンジジュース割り)ならかろうじていけるかも…?というところ。ただスクドラつくるならアブソルートとかクバンスカヤ、リモンナヤあたりがいいと思います。
007シリーズに登場する「ボンド・マティーニ」でベースのウオッカとして使われている銘柄のため、オーセンティックなバーなら常備してある店が多く、プレミアムウオッカとしては試しやすい。「普通のウオッカとこのベルヴェデール、どのへんが違うんですか」と頼んだときに喜んで説明してくれるバーテンダーに出逢えたらその人はなかなかの手練なので、根掘り葉掘り聞くチャンスです。
2. シロック(フランス産・4,000円クラス)
THE・フランスの酒。
香り、アタック、フィニッシュ、ボトルのデザインすべてにおいて華やかさ重視。ベルヴェやホワイトバーチのように「甘さがあって飲みやすい」というよりは「すっきりしててかすかにフレッシュさもあるので飲みやすい」という感じ。
アルコール臭が皆無なので、スミノフの赤とかをついうっかりそのまま飲んで吐きそうになったことがあるという方はぜひ一度飲んでみてほしい。
ただこれもカクテルベースとしてはどうなんだという感じがある。ベルヴェデールよりは炭酸に魅力を殺されないと思うけど、変にトニックで割ったりカクテルにしても、ストレートの美味しさは超えられないのでは?
3. スミノフブラック(イギリス産・2,500円クラス)
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スミノフの赤・青は微妙という話はわたしもそこらで散々してますが、黒だけはまったくの別物。なにせブラックラベルだけはイギリスでつくっているのです(赤青は韓国)。
イギリスといえばジンの名産地(ちなみに発祥の地ではない)として、スピリッツには誇りを持っているはずの国家です。だから結構信頼できるのですが、スミノフブラックは実際うまい。
変な雑味はなく、スムースでわずかにクリーミィ。これもクリーミィさゆえにカクテルベースとしてはいまいち使い勝手が悪い気もしますが、ストレートで飲んでおいしいウオッカとしては一番安いんじゃないか?っていうレベル。どれだけ「ベタすぎ」と叩かれようともベルヴェ、シロックを上位に置くのはまぁ当然みたいなところもあるのですが、スミノフブラックも十分張り合えるレベルだと思います。
次点. アルティメットウオッカ(ポーランド産・4,500円)
ウルトラプレミアムウォッカみたいな単語を使い、ウォッカもストレートで飲める美味しい銘柄があるんだよーということをアピールしてきたこの界隈。
そこに颯爽とあらわれた「アルティメット」。嫌が応にも期待は高まります。
飲んでみると、アタックから豊かな穀物の風味を感じます。スカイウォッカのように、人によっては嫌うような「雑味」ではなく、これはしっかり「風味」になってるなぁという印象。そして完全に「辛口」で、ベルヴェ、シロック、グレイグースよりもドライ。
ただ、ネックとしては用途が限られそうなところ。「最後にスッキリ」としてはあんまりスッキリしてないし、カクテルベースとしては風味が強すぎ、しかもこの穀物の風味って相性の良い副材料が結構絞られてくると思います。ただシャープなカクテルをつくりたいなら一考の余地あり。
あと、これ飲むならジンでいいんじゃね?と思うのはわたしだけなのでしょうか…。「シロックよりジーヴァイン(ジン)のほうがうまい」みたいな屁理屈かもしれませんが。
あと有名・人気な銘柄とか面白い部類のやつを紹介
グレイグース(フランス産・4,000円クラス)
バー業界では有名な銘柄。独自調査の結果、有名なバーテンダーの方がカクテルに使用されたことが追い風となり、メーカーが各地のバーに売り込みまくったという話を聞きました。
まろやかさ、ふくよかさのようなニュアンスは感じられるが、ベルヴェデール、ホワイトバーチなどに比べると辛口なため、やや立ち位置が半端な感はある。
ただ、丸すぎない、甘すぎないので、ちょっと豪華なカクテル用銘柄としては優秀だと思う。トニックとかは合うし、むしろストレートで飲むシチュエーションがあまり浮かばない。カクテルベースのウォッカが 4,000 円ってのも贅沢な話ですけどね。ビーフィーター24やタンカレー TEN(有名なジンの高級版)でももうちょい安い。
奥飛騨(日本産・2,500 円クラス)
米を原料にした日本産のウォッカ。感想はただ一言「なぜ米を使ってしまったんだ」。
アルコール度数 55 度ということで、ストロワヤが 40 度になりスミノフ青が劣化してしまった今となっては「酒精強化ウォッカ」といえる強さは魅力的。ただ甘みを感じるおかげでカクテルベースにしづらい。ホワイトバーチの強化版?
そして冷凍してストレートで…というにはこの強さはアル中専用って感じなのでなんかいろいろもったいない。ただ、シロックやエギュベルほど「味がつけられてる感(あざとさ)」はないので、ギリギリでウオッカらしさは残っています。
シルヴァラード(アメリカ産・終売品)
幻のウオッカ。シロックと同じく、ぶどうからつくられたウオッカ。
シロックに比べると味、ボトルのデザインともにやや控えめ。シロックが「酒と芸術の国・フランスの誇りを見せてやろう」って感じでガンガン自己主張してくる “芸術家の酒” なら、シルヴァラードは「タフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格がない」というフィリップ・マーロウのような “ハードボイルドな酒” って感じです。
わたしは人生屈指の幸運で飲ませていただけましたが、この時代に飲める人はとてもツイてると思います。
シデリット ラクテ(スペイン産・4,000円クラス)
ホワイトバーチ、奥飛騨、カフェウォッカあたりよりも「甘口のプレーンウォッカ」という言葉が似合う。
何を隠そう乳糖を原料にしているとかで、ボトルのデザインもプラネタリウム感あってインテリアにできるレベル。
ベルヴェデールと同系統というかさらに丸くしたような感じなので、カクテルベースとしての使い所はまったくイメージできない。ストレートで飲むものじゃないかと。度数は 40 度なので、「甘くて美味しいウォッカ」を試すなら奥飛騨よりは試しやすく、ホワイトバーチよりも甘みを感じやすい。
エギュベル(フランス産・2,500円クラス)
ジンは有名なエギュベルさん。ジンのほうを飲んだことがある方にとっては「マジであんな感じ」と言えば伝わりそう。
アタックからしてすでにエギュベル。中間もフィニッシュもエギュベル。もはやリキュールでは?と思う。
ジンのほうはクセが強いながらも飲みやすさがあるが、ウオツカのほうはクセの強さだけが悪目立ちしてる印象。割り材にはならないからストレートで飲むものだと思うが、どんなシチュエーションで飲むべきなんだろうこれは。
リモンナヤ(旧ソ連産・1,500円クラス)
ウォッカなのにめっちゃ黄色い液体。だけど味は普通。ほんのりとレモンの風味があるかな、ってくらい。クリアな感じには欠ける。
出オチ感が強いけど、柑橘系を使ったカクテルベースにはまぁあり。ソ連ブランドだともっといろんな材料を使ってこねくりまわした「クバンスカヤ」もありますが、現代の酒飲みの味覚にはあんまり合わない気がします。安いからいいんだけど、クバンスカヤ飲むならスミノフブラックとかネミロフバーチとか買うわ。
ニッカ カフェウォッカ(日本産・4,000 円)
これはウォッカではない。異常。これ好きな人は普通にジン飲んでるほうがいいと思う。
100 歩譲ってフレーバーウォッカとして考えればまぁアリだけど、割りものに使いづらいよねこれ。ブラックルシアンだけは最高だと思うけど。
フレーバードウォッカだったり何かを漬け込んでたりする有名どころとうまい銘柄
ウオッカの偉大なところは、何かを漬け込んだり、フレーバーをつけても面白いところ。
そのまま飲むもよし、カクテルベースとしてもよし。使い方は無限大というか、我々のイマジネーションが試されるジャンルだと思います。
また、フィンランディアやアブソルートをベースにショウガを漬け込んだジンジャーウォッカ、珈琲豆を漬け込んだコーヒーウォッカなどの製造にも手を出し始めるとロシアの闇のように深い。
フレーバーウオッカは系統ってより「何を使ってるか」なので、一気に紹介しますね
1. ネミロフ バーチ(ウクライナ産)
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「白樺の蕾と菩提樹のコンビネーション」と銘打ったやつ。
アタックからして味はあるが、甘さはなく、あくまでフレーバー的な感じ。青りんごというテイスティングノートはあったが甘口ではない。グリーンな感じの清涼感が最初から最後までつきまとってくる。
そのまま飲んでも美味しいけど、個人的にトニックウォーターやライムとの相性が最もいいと思うウオッカ。 このマリアージュはシロックとかより上だと思います。
ネミロフ、この銘柄だけはかなりすごいと思ったけど、プレーン、ライハニー(フレーバー)、ペッパーが全部微妙だったので、作り手としては評価に困る。ミニチュアボトルがセットになったボックスが1,500円くらいで売ってるので、試しやすいっちゃ試しやすいですが。
2. ヴィル・ヴァルゲのフレーバーシリーズ(エストニア産)
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チェリー、スイカ(ウォーターメロン)、ペッパーがある。ミニチュア4本セットが700円くらいなので試しやすい。
飲んだ瞬間こそ「スイカだ〜〜!最高の夏がくるぞ〜〜!」って感じがあるけど、後味はウオッカらしくスッキリしていてあんまりべたつかない。いい塩梅をわかってるな〜〜と思います。
ペッパーウォツカは、ペルツォフカほど「辛味」に走らず、「塩気」を出している調合。しょっぱい感じのブラッディ・メアリー(ブラッディ・シーザー)が好きならこっちのほうがいいです。クラマトにはこっちのほうが合うんじゃないか感もある。
ほんまヴィルヴァルゲはもうちょい評価されていい。
3. チェイス スモークウオッカ(イギリス産・6,000円クラス)
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燻製感のフレーバー。香ばしく、いい具合に塩気もあってうまい。ざっくり言うと「酒飲みが好きな味」。けど高いんだこれ。
おすすめの飲み方はブラッディ・メアリーやブラッディ・シーザー。というかそれだけのために家の冷凍庫に常備しておきたいレベル。ストレートで飲んでも美味いんですが、単体だとこのスモーキーさを持て余します。燻製とかをつまみながら飲むならアリかな。
あとラフロイグハイボールみたいな感じで、ソーダとレモン(ライム)でさっぱりさせてみるのもありかも?
という感じなので、コスパではいまいちと考えて順位は下げました。
次点. アブソルート シトロン(スウェーデン産)
みんなだいすきシトラス系フレーバー。
すっきり爽やか、ウオッカとは思えぬ飲み口の軽さについつい飲みすぎてしまう…みたいな定番の煽り文句が似合うくらい定番です。
まぁハッキリいってアルコールとシトラスってど素人が調合しても美味しいですからね。そら美味しいですよね。グレープフルーツとトニックウォーター使えばそれだけで美味しいからベースがジンでもウオッカでもラムでもいいみたいな話に近い。
ウォッカに詳しい人は「ベタやなぁ」と思うかもしれません。けど変に玄人ぶってシタデルのアップルウォッカとか紹介するよりは、ど定番でも、少しでも美味しいものを紹介するのがレビューというものではないでしょうか。あとシタデルはフランスのメーカーならもうちょい頑張って欲しい。ジンもウォッカも地味すぎる。
あとはカラント(カシスフレーバー)も甘くて美味しい。
説明無用. ペルツォフカ(ソ連産)
ド定番。ブラッディ・メアリーやブラッディ・シーザーをつくるなら、つまりトマトジュースと合わせるならコレ。クラマトとの相性は最高。
そのまま飲むと「うわぁ唐辛子の炎がぁー」という感じで口内をピリピリと燃やします。なのでホットになりたいときはペルツォフカをストレートで…と言いたいところなのですが、よく訓練されたウオッカ飲みはそういうときこそ冷静に「冷えてないシルヴァラードをくれ」なんですよね。ウオッカ沼とロシアの雪は本当に深い。
説明無用. ズブロッカ(ポーランド産)
ド定番。バーテンダーがなんやかんやでおすすめしやすいやつ。
桜餅のようなフレーバーなので日本人の舌には合うようですが我々ロシア人にはわかりかねますね。有名ですし、有名な割に感動的な味わいってわけでもないので特筆事項はありません。
補足. グレイグースのフレーバーシリーズ(フランス産)
レモン、オレンジ、ラ・フランスがあります。営業努力のおかげか[要出典]、バーでも置いてあったりするのですが、個人的にはびみょう。
オレンジはめちゃくちゃ甘いのでウオッカって感じがせず、リキュール感覚で飲むほうがよい。試すならラ・フランスがまぁ無難かなぁ。
味の違いはどこに生まれる?───ほぼ味がないウォッカをストレートで飲んだりカクテルのベースに使う理由
最終的に「おすすめの銘柄+飲み方」を紹介するにあたってまず言っておきますが、1,500円クラスのスタンダードなウオッカであればカクテルの主材料としても使えますが、4,000円クラスのプレミアムウオッカであれば結局そのままストレートで飲むほうがいいと思ってます。
ではウォッカの存在意義とはいったい何なのか。ソヴィエトが崩壊しかけても上層部によって粛清されないほどの知性を持った皆さんならきっと察していただけるとかと思いますが、ウォッカとは、ロシアの広大な大地を白く覆う雪のような「厚み」です。
とあるロシアを舞台にした文学小説に「運命論とボルシチと共に、雪もまた、ロシアをロシアたらしめるものだからね」という一節があります。私などはジャパンのトヤマケン(こう書くとフィンランド人っぽい)生まれなので同意したのですが、もちろん温暖な土地で生まれ育った人にとって雪など降らなくとも健やかに暮らしていくことができます。
スクリュードライバーのウォッカ抜き(オレンジジュース)、ブラッディ・メアリーのウォッカ抜き(トマトジュース)でも、美味しいと感じる人はたくさんいます。
しかしながら、ウォッカを加えることで、甘味や酸味を残しつつ、しっかりした骨組みができるというか、屋台骨がしっかりできた上での枝葉として果実味が楽しめるようになる。 果実ジュースにウオツカが入ることで、日本人女子が理想とする「細マッチョ」というマッチ棒のような身体から、屈強なロシア人すら殴り倒せるほどのボディビルダーへと変貌するのです。
そしてそのボディビルダーはさらなる力と魅力を求め「ウルトラプレミアムウォッカ」へと進化しました。ストレートで飲んでも美味しい銘柄の個人的なおすすめは、ナイト・キャップ(寝酒)としての一杯。
わたしはウオッカ以外にブランデーやシャルトリューズを愛飲しているフランス貴族かぶれなのですが、甘さがあってアルコール度数強めの酒を何杯か飲んでると、どうしても舌が疲れてくるんですね。3~4杯飲むと、そろそろ味わからんようなるでこれ、って。
で、最後に何か1杯飲んで終わろうってなったとき、何かすっきりしたものが飲みたくなりました。ジンはちょっとクセが強いから、じゃあウオッカだろうと。
コニャックやシャルトリューズ、あるいはそれらを使ったショートカクテルのあとに冷凍したウオッカをストレートで飲むと、いい感じで締められます。水では癒せないハードな疲れを癒してくれるような。
酔っ払うことで羞恥心が取り払われ、中学二年生のときに思い描いた魔界征服などの野望を思い出した方は、憂いを帯びた顔で「明日、目が覚めませんように」などと呟きながら眠りにつくとそのまま魔界へ誘われ、亡骸はロシアの屈強な男たちによって雪の中に埋められるかもしれません。要はすっきり眠れますということが言いたかった。
くだらないことを長々と書いたので、お詫びとして逆引きのリストを

※無断転載は見つけ次第、規定の利用料金を請求しますのでご了承ください。
まぁ、格付けチェックとかで当てれる気はしませんけどね
素人の中では最強を目指していますが、ブラインドで銘柄ふせて飲んでも当てれる気はしないっすね、正直。やっぱりウオッカの違いって微々たるもので、ウィスキーやブランデーに比べたら「どれも大差ない」とか思ってしまうかもしれません。
ただ、わたしは今も銘柄の勉強、味わいのマッピング、どう飲めばおいしいかの試行錯誤などをやってますけど、どんどん楽しくなってきて、ウオッカの世界はロシアの雪のように深いと思ってしまってるんですよね。
※本文中に「ウォッカ」「ウォツカ」「ウオツカ」「ウオッカ」「ウォトカ」を混在させていますが、Google 対策として一応やっていることなのでお気に障りましたらまぁフィンランディアでも一杯どうですか。これ別に SEO として意味ないとは思うんですけど、やらないよりはやったほうがほら、最強の素人と検索順位1位を目指す上では…ね。