- 「広報」や「編集」の概念を常時アップデートしていく感じで -


自分は大手広告代理店で2,000本コピーを書いて修行しましたみたいな本職の人間ではないけど、テキスト関係の仕事をずっとやってきてるってことで「キャッチコピー作って」みたいな依頼も受けるわけですよ。

でも、なんというか「どういうコピーですか? つくって何がしたいんですか?」「えぇっ? いやいや、キャッチコピーといったらやることは決まってるだろう。素敵なやつ頼むよ」みたいな話になって、なかなか作れなかったり、修正や折衝が面倒だったりすることが少なくない。

デザイナーさんとかも似たような問題は抱えてると思うけど、お手軽なイメージがあるせいかキャッチコピーの場合って丸投げ、指示ゼロでぶん投げられたり、「魔法の杖」みたいに過剰に期待されがちだと思う。

結論からざっくり言うと 「Web 上や制作会社で求められるキャッチコピーはキャッチコピーっていう言葉使わない方がいい。書く人が混乱するから」 って話なんですが、自分の頭の整理のためにももうちょい詳しく書きます。

目的や種類が増えて、「コピーライティングとは」が一言で表せなくなってきた


今が 20 世紀だったら、キャッチコピーの考え方、コピーライティングというお仕事の役割は下記の記事がぐうの音も出ないくらい正しかったと思うし、社内やお客さんを説得することもできたのではないかと思う。

http://www.advertimes.com/20141205/article176445/

ピッチャーで甲子園まで行った野球大好きの20代男。今は年収500万のカタい会社勤めで社会人野球やっている。では、婚活女子に刺さる、彼の「コピー」を書きましょう。

(例)

「おれは、生涯、野球人。」 →運が良ければ刺さるかもね

「実直な勤め人です。実直に愛します。」 →最悪

「今度は、本当の女房役求む。」→掴みとしてはいいんだけど…

「毎日子どもとキャッチボールする男です。」→模範解答

自分の「説明」なら自分でもできるんです。客観的な視点から、言葉によって新しい価値を生み出すのがプロの仕事。

僕の言うお金のもらえるコピーライティングとは、そういうことです。

(簡単にまとめるとこんな感じ)

近年では何が違うのかといえば、情報量と、情報の入手経路。マスメディアが経路を抑えていてトップダウンで情報を愚民たちに垂れ流す 20 世紀から、そこらじゅうに情報が溢れていてスマホや PC を介して飛び込んでくる時代、かつ流通経路も多様化&双方向化している時代に変わった。

となると、多くの発信者は、最初にユーザーにリーチする情報を「簡潔で、インパクトのある情報」にするほうが安全なので、なんでもかんでも「キャッチコピーをつけよう!」という流れになりがちです。

今やメディアの記事のタイトルや SNS 投稿の一行目までキャッチコピーって呼ぶ始末。LP やサービスサイトの中で視線が集まるポイントにもキャッチコピーを置きましょうと議論される時代。広告業界志望じゃなくても普通に就活してたら「あなた自身にキャッチコピーをつけてください」っていう課題が出たりする時代。

そして、 Web に接続されている時点で「ユーザーの反応がすぐに、具体的な数字として分かる」ので、20 世紀的な仕事とは大きく書き方・考え方や社内目標が変わり、コピーライティングの中でも「稼げるコピー」「バズるコピー」などのバリエーションが生まれました。

ベンチャー企業が大好きな「成果主義」が、新しいキャッチコピーの考え方を生んだ

結果が見えることもあって、SNS 広告や Web メディア、LP、ポータルサイト、動画など、Web コンテンツや、そこに乗せるキャッチコピーは、圧倒的に「数字へのコミット(ノルマ意識)」が求められます。 理由はいろんな要素が絡む。

考え方として結果(数字)が求められること自体は紙の広告とかも同じでしょうけど、Web の文化だと長期的な目線でファンを増やすとか好感度を上げるみたいなことよりも、短期的な目線での各種コンバージョンを求められます。「完全成果主義」「費用対効果の高いウェブマーケティング」などを売りにしている制作会社や代理店は多いですからね。

よって、いざキャッチコピーを提出する相手、お客さんや社内の事業部長は、

「これで数字取れんの? 予算達成できんの?」

「これでバズるの? PV 集められるの? ダウンロード数増えるの?」

「変にカッコつけるより、お得感とか実績とかをストレートに表現したほうが数字につながるじゃん?」

などと詰めてくる、というパターンが多いかと思います。また、昨今の流行りでいえば

「キャッチコピーもABテストでどんどん試してみたいから、候補は10個くらいください」

みたいなオーダーも降ってきます。1個のベストアンサーを出すより、コツコツ書き溜めて秒速で100案を出すほうがいい場合もあります。

また、これは広報担当者も苦労する点なのですが、

「直接的に説明するのではなく、客観的な視点から言葉によって新しい価値を生み出すのがプロの仕事だ、って大御所の方が仰ってましたよ」

とか言おうものなら、

「新しい価値を生み出したっていうのは、どうやって数字で説明するの?」

と突っ込まれることでしょう。ABテストをしてみて数字が出なかったものは「イケてないコピー」とみなされ、二度と日の目を見ることはないでしょう。就活の ES で落ちたときには、書いたコピーが悪かったんじゃないか…と思ってしまいますよね。

時と場合にはよりますが、20世紀的な手法、「心に残るコピー」や「気づきのあるコピー」などでは、お客さんや社内が OK を出してくれないことも増えていると思います。間接的なキャッチは好みに大きく左右されるから、ツボれば一発なんですけどね。

凝った書き方を全放棄して「もっとわかりやすくしよう」とか言い出すとヤバい

個人的には『毎日子どもとキャッチボールする男です。』という記事中の例は好きですが、特に Web 業界ではプレゼンに苦労するし、場合によっては模範解答ではなくなると思います。

実際、氾濫している情報の中で目を引くかといえば微妙なので、「あっ、そう」で消化されてしまうおそれがある。Web 上でのリーチの場合、即効性がないとまず行動にはつながらないので、第一印象で平凡なフレーズだと思われてしまったり、アピールポイントが理解されない可能性があるのは数字を取りこぼすリスクが高い。

たとえば SNS 広告の場合なんかだと、『今度は、本当の女房役求む。』みたいな掴みのフレーズにした方が数字が出るかもしれない。自分でも例を考えてみたんですが、たとえば 『甲子園のマウンドより、家族の方が守りがいはあると思う。』 とかですかね。模範解答よりは多少はシェアされる気がします。

また、(掴みのフレーズにしても同じですが)いざ提出すると、「いや良いんだけど、甲子園いったこととか年収500万あることは婚活女子にウケそうだからわかりやすくアピールしてほしいな~」とかなんとか言われて、結局

『昔はエースで甲子園、今はリーダーで年収500万!』

みたいな修正案を出されるという悪夢もイメージできます。「わかりやすくしよう」とか誰かが言い出すとどうしても安直な「説明」に近づいてしまい、さらに相手が「説明的なキャッチコピーにするのが正解なんじゃね?」と結論づけてしまいかねません。

単純に売上だけを考えたセールスコピーライティングでは説明的キャッチ(『500万人に支持された大人気商品!』みたいな)が正解になる傾向はあるなど、時と場合によって求められる「キャッチコピー」すなわち求められる「約20字のテキスト」は変わります。その状況に合わせて「いやいやそういうコミュニケーションしててもユーザーにモテないですよ」と根気強く説得できるかというのも、21世紀を生きる「書く人」にとっては重要なスキルになるのではないかと思います。

年収を伝えたいのか、メリットを提示したいのか、気を引きたいのか。一つだけ選ぶことが書き方のコツ

当たり前のことですが、20字や30字のテキストが保有できる情報量なんかとんでもなく少ないんですよ。作曲やデザイン以上に 「削ること」「凝縮すること」 が大切な仕事です。

「年収500万ある元甲子園ピッチャーということがわかりやすく伝わり、かつ何かしら目を引く、バズるような技巧がある」なんてのは作れない ので、「(お客さんや自社の代表が)言いたいことを言って、かつ見込顧客層を動かせるようなキャッチなんてのは不可能ですよ」というのをまずは理解させないといけない。

どうも、宣伝会議賞が盛り上がったり SNS で名作まとめみたいなのがバズってたりするせいか、「キャッチコピー」という言葉には魔法のようなイメージがあるようで、「コピーライターを使えばすごい数字につながる」と、高いハードルを用意される気がします。オウンドメディアみたいな。

(コピー)ライティングの仕事は「誰に、何を、どのように伝えるか」というコミュニケーションを設計する仕事なので、まずは

1:誰に

どんな生活をしていて、どんな問題や不満を抱えていて、何を求めているのか。

2:何を

キャッチコピーをつける人や物の魅力のうち、ターゲットに刺さるものはどこなのか(実績の数字なのか、性能なのか、雰囲気なのか、選ぶメリットなのか)。競合とはしっかり差別化できているのか。

3:どのように

直接的なキャッチ(年収500万です!スポーツマンです!)なのか間接的なキャッチ(毎日子供とキャッチボールします)なのか。拡散させて見てくれる人を増やすのか、拡散率は問わず購買・行動などアクションにつながる確率を高めるのか。

※:あれ? そもそも何がしたいんだっけ?

広告費かけずにバズらせて多くの人にリーチさせたいのか、広告費かけてリーチ人数は確保するから話を聞いてもらう前提で人の心を動かしたいのか、何人のリーチするかよりも相手が行動を起こしてくれる確率を高めるのか。

を詰め切るのが、記事制作とかと同様でキャッチ的な20字の際も大切っていう話ですね。

で、個人的にほとんどの場面で求められるキャッチコピーってのは大喜利的なアーティスティック回答ではなく、「ここで何をすべきなのか」から逆算して、引き算の結果として「最終的に選んだ一言」になると思います。

コツとか、「何のために書くのか考えろ」以外に言いようがない。就活のエントリーシートでも、応募者数万人の中でも目を引くような学生ですよーって言いたいのか、わたしは御社が求める人材ですよーっていう相性を伝えたいのか、そういう考え方をしましょう。 がんばれ就活生。

余談:これって動画制作とか編集でも同じなんだよね

たぶん、Web 業界でイキってる30代マネージャーなんかは

「映像制作ずっとやってきたおじさんたちの Web 動画、圧倒的に数字にコミットできてないってよ」

みたいな噂話が好きだと思います。

「YouTube 広告の最初の5秒の情報量が少ない動画って何考えて作ってるの? どうせスキップされるのに」

みたいなのは実際自分も思います。どうせスキップするし。

動画制作にしても編集にしても、情報社会の到来によって20世紀的な手法が通じなくなってきつつあって、「編集を再定義しないといけない」みたいな流れになってるわけですよね。


でもハイキャリアのシニアの方が雪道の宿場町の写真につけた『人の歩く音がしました。』っていうキャッチコピーは憧れるなぁ。

キャッチコピーの作り方とかコツとか以前にまず「少ない文字数で何をするか」ハッキリさせることが大事


自分は大手広告代理店で2,000本コピーを書いて修行しましたみたいな本職の人間ではないけど、テキスト関係の仕事をずっとやってきてるってことで「キャッチコピー作って」みたいな依頼も受けるわけですよ。

でも、なんというか「どういうコピーですか? つくって何がしたいんですか?」「えぇっ? いやいや、キャッチコピーといったらやることは決まってるだろう。素敵なやつ頼むよ」みたいな話になって、なかなか作れなかったり、修正や折衝が面倒だったりすることが少なくない。

デザイナーさんとかも似たような問題は抱えてると思うけど、お手軽なイメージがあるせいかキャッチコピーの場合って丸投げ、指示ゼロでぶん投げられたり、「魔法の杖」みたいに過剰に期待されがちだと思う。

結論からざっくり言うと 「Web 上や制作会社で求められるキャッチコピーはキャッチコピーっていう言葉使わない方がいい。書く人が混乱するから」 って話なんですが、自分の頭の整理のためにももうちょい詳しく書きます。

目的や種類が増えて、「コピーライティングとは」が一言で表せなくなってきた


今が 20 世紀だったら、キャッチコピーの考え方、コピーライティングというお仕事の役割は下記の記事がぐうの音も出ないくらい正しかったと思うし、社内やお客さんを説得することもできたのではないかと思う。

http://www.advertimes.com/20141205/article176445/

ピッチャーで甲子園まで行った野球大好きの20代男。今は年収500万のカタい会社勤めで社会人野球やっている。では、婚活女子に刺さる、彼の「コピー」を書きましょう。

(例)

「おれは、生涯、野球人。」 →運が良ければ刺さるかもね

「実直な勤め人です。実直に愛します。」 →最悪

「今度は、本当の女房役求む。」→掴みとしてはいいんだけど…

「毎日子どもとキャッチボールする男です。」→模範解答

自分の「説明」なら自分でもできるんです。客観的な視点から、言葉によって新しい価値を生み出すのがプロの仕事。

僕の言うお金のもらえるコピーライティングとは、そういうことです。

(簡単にまとめるとこんな感じ)

近年では何が違うのかといえば、情報量と、情報の入手経路。マスメディアが経路を抑えていてトップダウンで情報を愚民たちに垂れ流す 20 世紀から、そこらじゅうに情報が溢れていてスマホや PC を介して飛び込んでくる時代、かつ流通経路も多様化&双方向化している時代に変わった。

となると、多くの発信者は、最初にユーザーにリーチする情報を「簡潔で、インパクトのある情報」にするほうが安全なので、なんでもかんでも「キャッチコピーをつけよう!」という流れになりがちです。

今やメディアの記事のタイトルや SNS 投稿の一行目までキャッチコピーって呼ぶ始末。LP やサービスサイトの中で視線が集まるポイントにもキャッチコピーを置きましょうと議論される時代。広告業界志望じゃなくても普通に就活してたら「あなた自身にキャッチコピーをつけてください」っていう課題が出たりする時代。

そして、 Web に接続されている時点で「ユーザーの反応がすぐに、具体的な数字として分かる」ので、20 世紀的な仕事とは大きく書き方・考え方や社内目標が変わり、コピーライティングの中でも「稼げるコピー」「バズるコピー」などのバリエーションが生まれました。

ベンチャー企業が大好きな「成果主義」が、新しいキャッチコピーの考え方を生んだ

結果が見えることもあって、SNS 広告や Web メディア、LP、ポータルサイト、動画など、Web コンテンツや、そこに乗せるキャッチコピーは、圧倒的に「数字へのコミット(ノルマ意識)」が求められます。 理由はいろんな要素が絡む。

考え方として結果(数字)が求められること自体は紙の広告とかも同じでしょうけど、Web の文化だと長期的な目線でファンを増やすとか好感度を上げるみたいなことよりも、短期的な目線での各種コンバージョンを求められます。「完全成果主義」「費用対効果の高いウェブマーケティング」などを売りにしている制作会社や代理店は多いですからね。

よって、いざキャッチコピーを提出する相手、お客さんや社内の事業部長は、

「これで数字取れんの? 予算達成できんの?」

「これでバズるの? PV 集められるの? ダウンロード数増えるの?」

「変にカッコつけるより、お得感とか実績とかをストレートに表現したほうが数字につながるじゃん?」

などと詰めてくる、というパターンが多いかと思います。また、昨今の流行りでいえば

「キャッチコピーもABテストでどんどん試してみたいから、候補は10個くらいください」

みたいなオーダーも降ってきます。1個のベストアンサーを出すより、コツコツ書き溜めて秒速で100案を出すほうがいい場合もあります。

また、これは広報担当者も苦労する点なのですが、

「直接的に説明するのではなく、客観的な視点から言葉によって新しい価値を生み出すのがプロの仕事だ、って大御所の方が仰ってましたよ」

とか言おうものなら、

「新しい価値を生み出したっていうのは、どうやって数字で説明するの?」

と突っ込まれることでしょう。ABテストをしてみて数字が出なかったものは「イケてないコピー」とみなされ、二度と日の目を見ることはないでしょう。就活の ES で落ちたときには、書いたコピーが悪かったんじゃないか…と思ってしまいますよね。

時と場合にはよりますが、20世紀的な手法、「心に残るコピー」や「気づきのあるコピー」などでは、お客さんや社内が OK を出してくれないことも増えていると思います。間接的なキャッチは好みに大きく左右されるから、ツボれば一発なんですけどね。

凝った書き方を全放棄して「もっとわかりやすくしよう」とか言い出すとヤバい

個人的には『毎日子どもとキャッチボールする男です。』という記事中の例は好きですが、特に Web 業界ではプレゼンに苦労するし、場合によっては模範解答ではなくなると思います。

実際、氾濫している情報の中で目を引くかといえば微妙なので、「あっ、そう」で消化されてしまうおそれがある。Web 上でのリーチの場合、即効性がないとまず行動にはつながらないので、第一印象で平凡なフレーズだと思われてしまったり、アピールポイントが理解されない可能性があるのは数字を取りこぼすリスクが高い。

たとえば SNS 広告の場合なんかだと、『今度は、本当の女房役求む。』みたいな掴みのフレーズにした方が数字が出るかもしれない。自分でも例を考えてみたんですが、たとえば 『甲子園のマウンドより、家族の方が守りがいはあると思う。』 とかですかね。模範解答よりは多少はシェアされる気がします。

また、(掴みのフレーズにしても同じですが)いざ提出すると、「いや良いんだけど、甲子園いったこととか年収500万あることは婚活女子にウケそうだからわかりやすくアピールしてほしいな~」とかなんとか言われて、結局

『昔はエースで甲子園、今はリーダーで年収500万!』

みたいな修正案を出されるという悪夢もイメージできます。「わかりやすくしよう」とか誰かが言い出すとどうしても安直な「説明」に近づいてしまい、さらに相手が「説明的なキャッチコピーにするのが正解なんじゃね?」と結論づけてしまいかねません。

単純に売上だけを考えたセールスコピーライティングでは説明的キャッチ(『500万人に支持された大人気商品!』みたいな)が正解になる傾向はあるなど、時と場合によって求められる「キャッチコピー」すなわち求められる「約20字のテキスト」は変わります。その状況に合わせて「いやいやそういうコミュニケーションしててもユーザーにモテないですよ」と根気強く説得できるかというのも、21世紀を生きる「書く人」にとっては重要なスキルになるのではないかと思います。

年収を伝えたいのか、メリットを提示したいのか、気を引きたいのか。一つだけ選ぶことが書き方のコツ

当たり前のことですが、20字や30字のテキストが保有できる情報量なんかとんでもなく少ないんですよ。作曲やデザイン以上に 「削ること」「凝縮すること」 が大切な仕事です。

「年収500万ある元甲子園ピッチャーということがわかりやすく伝わり、かつ何かしら目を引く、バズるような技巧がある」なんてのは作れない ので、「(お客さんや自社の代表が)言いたいことを言って、かつ見込顧客層を動かせるようなキャッチなんてのは不可能ですよ」というのをまずは理解させないといけない。

どうも、宣伝会議賞が盛り上がったり SNS で名作まとめみたいなのがバズってたりするせいか、「キャッチコピー」という言葉には魔法のようなイメージがあるようで、「コピーライターを使えばすごい数字につながる」と、高いハードルを用意される気がします。オウンドメディアみたいな。

(コピー)ライティングの仕事は「誰に、何を、どのように伝えるか」というコミュニケーションを設計する仕事なので、まずは

1:誰に

どんな生活をしていて、どんな問題や不満を抱えていて、何を求めているのか。

2:何を

キャッチコピーをつける人や物の魅力のうち、ターゲットに刺さるものはどこなのか(実績の数字なのか、性能なのか、雰囲気なのか、選ぶメリットなのか)。競合とはしっかり差別化できているのか。

3:どのように

直接的なキャッチ(年収500万です!スポーツマンです!)なのか間接的なキャッチ(毎日子供とキャッチボールします)なのか。拡散させて見てくれる人を増やすのか、拡散率は問わず購買・行動などアクションにつながる確率を高めるのか。

※:あれ? そもそも何がしたいんだっけ?

広告費かけずにバズらせて多くの人にリーチさせたいのか、広告費かけてリーチ人数は確保するから話を聞いてもらう前提で人の心を動かしたいのか、何人のリーチするかよりも相手が行動を起こしてくれる確率を高めるのか。

を詰め切るのが、記事制作とかと同様でキャッチ的な20字の際も大切っていう話ですね。

で、個人的にほとんどの場面で求められるキャッチコピーってのは大喜利的なアーティスティック回答ではなく、「ここで何をすべきなのか」から逆算して、引き算の結果として「最終的に選んだ一言」になると思います。

コツとか、「何のために書くのか考えろ」以外に言いようがない。就活のエントリーシートでも、応募者数万人の中でも目を引くような学生ですよーって言いたいのか、わたしは御社が求める人材ですよーっていう相性を伝えたいのか、そういう考え方をしましょう。 がんばれ就活生。

余談:これって動画制作とか編集でも同じなんだよね

たぶん、Web 業界でイキってる30代マネージャーなんかは

「映像制作ずっとやってきたおじさんたちの Web 動画、圧倒的に数字にコミットできてないってよ」

みたいな噂話が好きだと思います。

「YouTube 広告の最初の5秒の情報量が少ない動画って何考えて作ってるの? どうせスキップされるのに」

みたいなのは実際自分も思います。どうせスキップするし。

動画制作にしても編集にしても、情報社会の到来によって20世紀的な手法が通じなくなってきつつあって、「編集を再定義しないといけない」みたいな流れになってるわけですよね。


でもハイキャリアのシニアの方が雪道の宿場町の写真につけた『人の歩く音がしました。』っていうキャッチコピーは憧れるなぁ。