- 「広報」や「編集」の概念を常時アップデートしていく感じで -


(2015年3月投稿 / 2017年大幅に加筆修正)

「PR Editor」とか自称していると同僚などには「ハイパーメディアクリエイターみたいなもんでしょ」とか言われるけど、むしろハイパーメディアクリエイターっていう肩書きの息の長さすげぇなって話でもあるけど、編集者的なマインドがないと広報・PRの仕事ってすげぇ難しくなるんじゃね?ってのが持論です。

そもそも企業における広報・PR担当者の役割って、大枠では「営業」+「編集」だと思うんですね。 求められる素質というか最適なペルソナでいえば、前者は飲み会大好きコミュ力お化けみたいな人で、後者はあらゆるものづくりに精通してる人。

今回はプレスリリースの書き方みたいな話を例にして後者について述べていきます。

メディア側の「ライター」に記事を書いてもらうコツは、PR担当者の「編集者」視点


メディアにおける「編集者」とは、記事を企画し、ライターに良い記事を書いてもらう(+求める反響が得られるように編集していく)仕事です。

プレスリリースとは、自社の製品が有名になるような良い記事を、メディアの記者に書いてもらうためのフックです。

つまり、広報・PR担当者は、メディアのライターにとっての編集者のようなマインドが求められます。

ですので、個人的にはプレスリリースの書き方とかポイントって、「このメディアならこういう記事として配信されてほしいなっていう完成形をイメージした上で、ゴールから逆算して“ネタ元(企画書)”としての原稿を書く」ことに尽きると思うんです。 あとは何を言っても小手先というか、そもそも文章を書くスキルが低い人は論外ですし。そういうときはプレスリリースの表現うんぬんのノウハウやセミナー・参考書籍を漁るよりよりまず文章力とか日本語力のそれを漁れと。

さらに言うと、「めちゃくちゃ多忙な」記者の方々に、「無償で」記事を書いてもらう必要があるので、気遣いが大切です。 ここでいう気遣いとはプレスリリース本文の日本語の言い回し1つ1つにこだわるとかではなく、

  • 大前提として、鮮度も引きもある良いネタを送れるかどうか

  • ネタと親和性が高いメディアに対して、完成した記事が思い描けるようなアプローチで送れるか(記者の方に「うちのメディアの色をわかってるな」と感じてもらえるか)

  • 記者の方が記事を書くことで、彼等やメディアが恩恵を受けるか(アクセス数、購入数、満足度などが上がる)

という部分がポイントです。だから「プレスリリースの一括配信」って、本命の効果を狙うには理にかなってないんですよね。リスクヘッジとかサブウェポン的な感じで使うにはいいんですけど。

参考にこんな記事も書いてます

書き方や送り方で悩むより、自分でネタをつくったり、より良くするほうが成果につながる

っていうのが下記の記事で CA の広報の方がすげぇ語ってくれてた。個人的にはこれ広報を始める人とかのための永久保存版マニュアルになると思う。

<プレマガ広報インタビュー>株式会社ウエディングパーク 瀬川 由絵さん

どこの編集部の人もそうだと思うのですが、1日に数百というプレスリリースが送られてきます。その中で、編集者に響く内容にするにはどうしたらいいのか。“編集”と“広報”、両方の視点から考えるようにしています。

そう、普通に考えて「○○(自社サービス)が、△△できる新機能をリリースしました」くらいのネタが目を引くわけないんですよ。

各部署のミーティングにも参加する様にしていて、例えばメディアで新しいサービスを立ち上げるとなった時には「こういったコンセプトの方がメディアも興味を持ちやすい」など広報視点で提案を行い、最初から仲間に混ぜてもらって一緒にコンセプトを考えるように心がけています。

やはり出来上がったサービスのプレスリリースを、後から単純に書くだけとなると「これだとニュース性が弱いな」という事もあるので。

ほんまそれ。

ある程度の経験を積んでくると、プレスリリースが完成したときにだいたい反響が読めるわけですよ。でもそれを開発メンバーとか偉い人に言っても伝わらないんですよね。

広報的には今回は弱いネタだな~と思ってても、広報の感覚を持ってない人、特に偉い人とかには、「これ日経新聞に載せたいよね」とか「TechCrunch とか取り上げてくれないかな?」とか無茶振りされることもあります。感覚を共有できない以上は仕方ないんですけど。

そんなときは、いくらプレスリリースの書き方とか送り方にこだわっても、期待には応えられません。記者さんとのつながりをつくる、メディアリレーションの仕事も、手持ちのネタが弱いときにやるよりは強いネタを持ってからやったほうが効果的ですし。

そうなると解決策は

  • そもそものネタ(新機能、キャンペーンなど)をもっとメディア受けするように変える

  • 自社単体ではネタとして弱いから、他社もまじえた「業界の動き」として取り上げてもらえるように(他社の広報と連携して)動く

のどちらかです。

ってことで、記事にもあるように、開発メンバーと肩を並べて仕事できるくらい、現場が好きな「つくれる人」がやった方がPRの仕事やった方がいいと思います。

ただ、特にWeb系のサービス・プロダクトになると、チーム全体が一つの「開発者文化」でまとまっている会社が増えてきているので、広報担当者がチームの一員として認めてもらうためには彼等と同じ目線で仕事ができる必要があります。

参考:welq騒動の結果、編集・メディア界隈に蹴鞠チームができないことを願う

たとえば、コーポレートサイトやサービスサイトのテキストが良くないと思ったとき、GitHub の PR ベースで直接修正すれば、「こいつアナログだと思ってたけど Web のことわかってんな」と一目置いてもらえるかもしれません。

開発チームが Slack と GitHub を使っているなら、そこに入っていって議論するほうが円滑に進められます。

プレスリリースを送った後、つまり取材対応も大切なポイント

良いプレスリリースを書いて、取材に来ていただいたとしても、取材対応がしっかりできないと意味がありません。

それは最終的にメディアに掲載される記事としてのクオリティを担保する意味でも、「編集者」としての対応をすべきです。

ここは営業的な広報のほうが強い面もあるんですが、ものづくりに強い編集者的な広報も価値を発揮できます。

専門的なメディアの記者の方と仲良くやっていくためには、ただ人当たりがいいだけ、『誰とでも仲良くなれます!』みたいな元気だけでは足りません。

前項で述べた「開発者と同じ目線で議論できるかどうか」というポイントが、取材対応でも生きると思います。つまり、記者の方と同じ目線で対応ができるか。

広報・PR担当者になったばかりのときなどは、ついつい「プレスリリースの書き方・送り方」が広報スキルだと勘違いしがちです。

しかし、そんな小手先のノウハウを身につけようとするのではなく、「営業」「編集」の視点の延長線上に「広報」があるというくらいの気持ちで、2つの根本的な能力を身につけようとするほうが効果的です。

まさに今は「広報の仕事とは」を再定義すべき時代なので、21世紀の Public Relation をどうしていくかみたいなところはわたしたち次第です。未来に近づけるようにハイパークリエイティブに頑張りましょう。

※営業的な広報スキルについてはまた別途まとめたい。

--

<余談>

ハイパーメディアクリエイターは未だに「信用できない肩書ランキング」とかいって記事に出てくるレベルなんですね。

何やってる人? 社会人が「うさんくさいなぁ」と思う職業ランキング! 3位「占い師」2位探偵......(マイナビ学生の窓口)

なんだろうこういう一度犯した過ち絶対許さないマンはやっぱ多いのか(AAAの落書きとかもう許されたんだっけ?)。それとも考える気がなくて生理的に無理な芸能人に未だにエガちゃん挙げるような感じなのか。

(ソーシャルメディアなんちゃらは許されたのではなくインターネット上の一部の人にしか認識されてなかっただけだよな?

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「プレスリリースの書き方」より「編集者としての考え方」を学ぶほうが広報・PRの仕事には効果的


(2015年3月投稿 / 2017年大幅に加筆修正)

「PR Editor」とか自称していると同僚などには「ハイパーメディアクリエイターみたいなもんでしょ」とか言われるけど、むしろハイパーメディアクリエイターっていう肩書きの息の長さすげぇなって話でもあるけど、編集者的なマインドがないと広報・PRの仕事ってすげぇ難しくなるんじゃね?ってのが持論です。

そもそも企業における広報・PR担当者の役割って、大枠では「営業」+「編集」だと思うんですね。 求められる素質というか最適なペルソナでいえば、前者は飲み会大好きコミュ力お化けみたいな人で、後者はあらゆるものづくりに精通してる人。

今回はプレスリリースの書き方みたいな話を例にして後者について述べていきます。

メディア側の「ライター」に記事を書いてもらうコツは、PR担当者の「編集者」視点


メディアにおける「編集者」とは、記事を企画し、ライターに良い記事を書いてもらう(+求める反響が得られるように編集していく)仕事です。

プレスリリースとは、自社の製品が有名になるような良い記事を、メディアの記者に書いてもらうためのフックです。

つまり、広報・PR担当者は、メディアのライターにとっての編集者のようなマインドが求められます。

ですので、個人的にはプレスリリースの書き方とかポイントって、「このメディアならこういう記事として配信されてほしいなっていう完成形をイメージした上で、ゴールから逆算して“ネタ元(企画書)”としての原稿を書く」ことに尽きると思うんです。 あとは何を言っても小手先というか、そもそも文章を書くスキルが低い人は論外ですし。そういうときはプレスリリースの表現うんぬんのノウハウやセミナー・参考書籍を漁るよりよりまず文章力とか日本語力のそれを漁れと。

さらに言うと、「めちゃくちゃ多忙な」記者の方々に、「無償で」記事を書いてもらう必要があるので、気遣いが大切です。 ここでいう気遣いとはプレスリリース本文の日本語の言い回し1つ1つにこだわるとかではなく、

  • 大前提として、鮮度も引きもある良いネタを送れるかどうか

  • ネタと親和性が高いメディアに対して、完成した記事が思い描けるようなアプローチで送れるか(記者の方に「うちのメディアの色をわかってるな」と感じてもらえるか)

  • 記者の方が記事を書くことで、彼等やメディアが恩恵を受けるか(アクセス数、購入数、満足度などが上がる)

という部分がポイントです。だから「プレスリリースの一括配信」って、本命の効果を狙うには理にかなってないんですよね。リスクヘッジとかサブウェポン的な感じで使うにはいいんですけど。

参考にこんな記事も書いてます

書き方や送り方で悩むより、自分でネタをつくったり、より良くするほうが成果につながる

っていうのが下記の記事で CA の広報の方がすげぇ語ってくれてた。個人的にはこれ広報を始める人とかのための永久保存版マニュアルになると思う。

<プレマガ広報インタビュー>株式会社ウエディングパーク 瀬川 由絵さん

どこの編集部の人もそうだと思うのですが、1日に数百というプレスリリースが送られてきます。その中で、編集者に響く内容にするにはどうしたらいいのか。“編集”と“広報”、両方の視点から考えるようにしています。

そう、普通に考えて「○○(自社サービス)が、△△できる新機能をリリースしました」くらいのネタが目を引くわけないんですよ。

各部署のミーティングにも参加する様にしていて、例えばメディアで新しいサービスを立ち上げるとなった時には「こういったコンセプトの方がメディアも興味を持ちやすい」など広報視点で提案を行い、最初から仲間に混ぜてもらって一緒にコンセプトを考えるように心がけています。

やはり出来上がったサービスのプレスリリースを、後から単純に書くだけとなると「これだとニュース性が弱いな」という事もあるので。

ほんまそれ。

ある程度の経験を積んでくると、プレスリリースが完成したときにだいたい反響が読めるわけですよ。でもそれを開発メンバーとか偉い人に言っても伝わらないんですよね。

広報的には今回は弱いネタだな~と思ってても、広報の感覚を持ってない人、特に偉い人とかには、「これ日経新聞に載せたいよね」とか「TechCrunch とか取り上げてくれないかな?」とか無茶振りされることもあります。感覚を共有できない以上は仕方ないんですけど。

そんなときは、いくらプレスリリースの書き方とか送り方にこだわっても、期待には応えられません。記者さんとのつながりをつくる、メディアリレーションの仕事も、手持ちのネタが弱いときにやるよりは強いネタを持ってからやったほうが効果的ですし。

そうなると解決策は

  • そもそものネタ(新機能、キャンペーンなど)をもっとメディア受けするように変える

  • 自社単体ではネタとして弱いから、他社もまじえた「業界の動き」として取り上げてもらえるように(他社の広報と連携して)動く

のどちらかです。

ってことで、記事にもあるように、開発メンバーと肩を並べて仕事できるくらい、現場が好きな「つくれる人」がやった方がPRの仕事やった方がいいと思います。

ただ、特にWeb系のサービス・プロダクトになると、チーム全体が一つの「開発者文化」でまとまっている会社が増えてきているので、広報担当者がチームの一員として認めてもらうためには彼等と同じ目線で仕事ができる必要があります。

参考:welq騒動の結果、編集・メディア界隈に蹴鞠チームができないことを願う

たとえば、コーポレートサイトやサービスサイトのテキストが良くないと思ったとき、GitHub の PR ベースで直接修正すれば、「こいつアナログだと思ってたけど Web のことわかってんな」と一目置いてもらえるかもしれません。

開発チームが Slack と GitHub を使っているなら、そこに入っていって議論するほうが円滑に進められます。

プレスリリースを送った後、つまり取材対応も大切なポイント

良いプレスリリースを書いて、取材に来ていただいたとしても、取材対応がしっかりできないと意味がありません。

それは最終的にメディアに掲載される記事としてのクオリティを担保する意味でも、「編集者」としての対応をすべきです。

ここは営業的な広報のほうが強い面もあるんですが、ものづくりに強い編集者的な広報も価値を発揮できます。

専門的なメディアの記者の方と仲良くやっていくためには、ただ人当たりがいいだけ、『誰とでも仲良くなれます!』みたいな元気だけでは足りません。

前項で述べた「開発者と同じ目線で議論できるかどうか」というポイントが、取材対応でも生きると思います。つまり、記者の方と同じ目線で対応ができるか。

広報・PR担当者になったばかりのときなどは、ついつい「プレスリリースの書き方・送り方」が広報スキルだと勘違いしがちです。

しかし、そんな小手先のノウハウを身につけようとするのではなく、「営業」「編集」の視点の延長線上に「広報」があるというくらいの気持ちで、2つの根本的な能力を身につけようとするほうが効果的です。

まさに今は「広報の仕事とは」を再定義すべき時代なので、21世紀の Public Relation をどうしていくかみたいなところはわたしたち次第です。未来に近づけるようにハイパークリエイティブに頑張りましょう。

※営業的な広報スキルについてはまた別途まとめたい。

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<余談>

ハイパーメディアクリエイターは未だに「信用できない肩書ランキング」とかいって記事に出てくるレベルなんですね。

何やってる人? 社会人が「うさんくさいなぁ」と思う職業ランキング! 3位「占い師」2位探偵......(マイナビ学生の窓口)

なんだろうこういう一度犯した過ち絶対許さないマンはやっぱ多いのか(AAAの落書きとかもう許されたんだっけ?)。それとも考える気がなくて生理的に無理な芸能人に未だにエガちゃん挙げるような感じなのか。

(ソーシャルメディアなんちゃらは許されたのではなくインターネット上の一部の人にしか認識されてなかっただけだよな?

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