
ちゃんとした企業と仕事をすると、契約段階で「使っているセキュリティソフトや情報漏えいを防ぐための施策について」記述してほしいと言われることもありますよね。
ウェッブ系中小ベンチャーだとそもそも漏えいするような情報もないせいかガバガバだったりしますけど、それはあくまでウェッブ業界の闇ということで、特にシャカイジンである我々はセキュリティ施策はちゃんとしておかなければなりません。
わたしの在籍した会社ではセキュリティ施策を疎かにしてたゆえに結構ヤバいアタックをくらったことなどもあり、そのへんのおかげで重要性を理解しました。つまりヤバい損失を防ぐためにある程度はコストをかけるという。保険みたいなものですが 20〜30 代インタネッツ民にとってはたぶん保険より大事。
ということで、Avira の Pro 版、を筆頭にもろもろがパッケージ化された「Avira Prime」を契約してそこそこ経ったので、現状をまとめました。
なぜ Avira にしたか + 使ってて感じるいいところ
ちなみに Avira Pro 自体は 7 年ほど使っており、初契約はそのとき。無職期間に無料版に戻したりとかはありましたが割と長い。
検出率が高いと評判
鈍感よりは敏感なくらいのほうが信頼できるのがセキュリティソフトというもの。
セキュリティ方面に強い知り合いに「一番かどうかは置いといて Avira で大丈夫か」と聞いたところ「検出率高いほうだからいいんじゃない」という回答だったのでまぁ大丈夫だろうと。
たまに誤検知もあるのはご愛嬌。
Antivirus Security Pro(有料)版はファイアウォール、メールスキャン、USB スキャンなど多機能
まさに総合セキュリティソフトという感じで、オールインワンな存在です。試しに海外のエロサイトとか適当にアクセスしようとすると Avira さんが全力で止めてくれたりします。
Avira Prime には VPN など便利ソフトがいっぱい同梱
私が契約しているのは Avira Prime ですが、これは
・セキュリティソフト(ファイアウォール込み)
・パスワードマネージャ
・VPN(容量無制限)
・動作最適化ソフト
などなど
が、デバイスの台数無制限で使えます。自宅 PC、自宅タブレット、持ち歩き PC、メインスマホ全部 OK。
仕事柄、そのへんのカフェやコーワキングスペースで作業をすることもあり、VPN はマストといえます。セキュリティ施策としてはパスマネも重要なのでこれがついてくるのもうれしい。
盗難防止装置としても
有料版の Avira Security を入れたデバイスはすべて「My Avira」というページで管理することになり、デバイスの所在地も表示されます。
管理ページからは音を鳴らすとかロックするとかの遠隔操作ができるので、パソコンやスマホを紛失した場合は別のデバイスから対応することができます。
※ただスマホなどを拾ったのが知能犯で、Wi-Fi、4G 通信、位置情報を OFF にした場合はさすがに無力
Prime や Pro ライセンスは頻繁にタイムセールがある
海外版ソフトウェアってたまにこういうのありますよね。
某脳トレソフトなんて「クリスマス限定セールで有料ライセンスが 25%OFF! この機会を逃さないで!」ってメール送ってきた 1 週後に「ハッピーニューイヤー! 今なら 30%OFF で買えます!」って送ってきましたからね。
Avira も無料版を契約してるとアホみたいに限定セールのポップアップ(消せなかった)が出ます。
ただ、スルーしかけたポップの中に最上級プランである上記の「Avira Prime」のセールがあり、私のときは 120 ドル / 2 年 でした。
単体でも年間 50 ドルとかなので、少なくとも確実に使う VPN が同梱でその値段は破格。ってことで契約の決めてになりました。
少なくともあんだけセールやってるなら定価で契約するもんではないですね。たぶん値引き前提のプライシングなので。あとファイアセールを待てる余裕があるなら 1 ヶ月無料体験くらいだとそんなにお得感ないかなぁ。
アイコンがかっこいい
赤い傘。kakkoii。割とこれがでかい。
Avira のデメリット
概ね「余計なことをする割にはエラーが多い」という感じ。
iOS つまり Mac との相性が悪い(Avira Phantom VPN が使えない問題)
2018 年はとにかくこの問題に悩まされた。Avira Security というか Avira Phantom VPN ですが。
「不明なエラー」とかいって VPN 接続ができない状態が続き、有料ソフトとは思えない体たらく。あれ VPN 単体で契約した人はブチ切れ案件だったのでは。
流暢なジャパニーズ英語でクレームを送ったところ「iOS と相性が悪いみたいなんだよねごめんね、今度のアップデートで直る予定だから待っててよ」との返答があり、数ヶ月待たされてようやく VPN 接続が復活。そしてその数日後にまた「不明なエラー」で接続不可能に。笑えない。
2019 年からはいつのまにか App Store で DL する形式になっており、とりあえずは iOS と仲良くなってエラーが解消された
…かと思いましたが余裕でエラー起きて接続できないこともあり。IPsec 接続=ルーター側で許可が必要なせいか、場所によっては使えないみたいです。何箇所かで試しましたがほんまに場所による。とりあえずベローチェはいける。
iPhone は持ってないのでわかりませんが、少なくとも Macbook で作業してる人たちは期待しすぎないこと(テザリングの準備は必須)。私は 2 年契約してるのでアレですが。
ライセンスの認証でエラーが頻発する
Google, Apple の二大巨頭に翻弄されているせいか、Avira 製品はアップデートのたびに My Avira(デバイス一括管理画面)で認識されなくなります。
- 盗難防止のための所在地確認ができなくなる
- セキュリティスキャンのログが残らなくなる
- My Avira 上で認識されないので一度アンインストールして再インストール → 認証できない(無料版のまま)
みたいなトラブルが頻発してきました。
有料ライセンス持ってるのに認証できずに無料版を使わされる問題は、一度 My Avira 上でデバイスごと削除してデバイスを再認証 → 管理画面上から Avira Antivirus Security をインストール、という流れで解決しました。
基本的に 「詰まったらデバイスやソフトウェア(+キャッシュ)を削除 → 再度新規で入れ直す」という作業が求められる ので、結構めんどくさい。
最適化するはずの「Avira Speedup」が割と重い

キャッシュ削除やデフラグをやるためのソフトですが、バックグラウンドでも結構メモリを食いながらカリカリ作業しています。
しかしセキュリティスキャンのように実作業をやっているわけではなく、あくまでスキャンをしているだけなので、ただ重くなっているだけで特に最適化されているわけではありません。
加えて「キャッシュこれだけあるよ!削除しよう!」「デフラグしよう!」みたいなポップアップを出してくるのでさらに重くなる。地獄か。
そのへんの作業は確かに定期的にやったほうがいいのですが、毎日のようにバックグラウンドでスキャン+ポップ配信とかやられるとさすがにアンインストールする。
ソフトウェアアップデータもひたすら重い上にミスる
「Software Updater」とは、パソコンの中にインストールされているアプリケーションやランタイムなどをスキャンし、最新版でなければその場でダウンロード→インストールしてくれます。
つまりは特定のバージョンに脆弱性が見つかったり、提供者がセキュリティ的に推奨しなくなっている場合などのアラートに気づかなくても、自動的にリスクを回避してくれるというわけです。
ただ、これもまたひたすら重い。重いだけならまだしも、結構失敗する。Windows Update までこれで管理しようとしてるせいで、
Avira 上で Windows Update → 失敗 → パソコン本体で Update やり直し
という重複作業まで発生する始末。
そんなわけでいろいろアップデート失敗することにキレてアンインストールしました。
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まとめ
私は 2 年契約縛りとはいえ結構なディスカウントがあったのでコスパ的に考えたらまぁ悪くはないと思います。
しかし Macbook の VPN 問題が解決されないようだと更新はどうかなぁというところ。持ち歩きデバイスが Windows/Android の場合とかはセール狙って長期契約結んでおくのもアリなんじゃないでしょうか。
Avira Antivirus Security の Pro(有料)版を使い続けてるのでそろそろレビューを書く 評判ほど悪くはないがデメリットもあり
おすすめのウォッカや、入門〜中級のブランデーに関してはそれぞれブログに好き放題書いてきましたが、クラフトジンというビッグウェーブには乗り切れていないのが現状。
ただジンに関してはジーヴァインやジン・ドーズのようなフランス産のトチ狂ったやつが一番好きなので、ジンというよりはウォッカやリキュールに近いような変わり種、オシャレなやつなんかを探しに行ってまいりました。

世界の各地方から集められた 100 種類以上のクラフトジンが試飲できる日本初の大型ジンイベント「GINfest.Tokyo 2018」。試飲は 10ml で 100 円という破格のお値段で、実質 15〜20ml くらいドバドバ注いでくれてたので、ジン好きやアル中にとっては感涙のイベントでした。

私がアクセスを稼ぎたいだけのブロガーだったら「会場はこんなにオシャレなところで〜」「ジンは個性豊かでどれも美味しくて〜」「ジンの世界は奥深いので気になるところからぜひチャレンジしていきましょう!」という 2 秒で書けるような記事にするのですが、そういうのはそういう人に任せておいて、結構ガチめのレビューをしていきます。
なおフランスと北欧中心なので、オランダとかドイツのスピリッツが好きな方はそっち方面の手練れを探してくださると助かります。ジュネヴァとかボトル多すぎて追いきれんし。
ル・ジン クリスチャン・ドルーアン(フランス産・薬草系)
「GINfest TOKYO (ジンフェスティバル)」でフランスと北欧中心にクラフトジンをいろいろ試してきたのでレビューする

結論としては、
インハウスの編集・ライターが事業会社内で期待される働きは “マーケ × PR” って感じなんで、「自分の仕事はいい文章を書くこと」というこだわりを捨て、「つくったもので事業の成長や売上にどれだけ貢献したのか」をクリアにさせること、あるいは圧倒的な愛嬌とコミュ力でねじ伏せろ
という話です。
当たり前の話ですが、インハウスの編集・ライターの理想形は、「うちの編集者は “ものをつくる” ことでめっちゃ事業の成長にコミットしてくれるなぁ」と認められる地位か、「めっちゃいいコンテンツつくれるからあの人は別に売上とかで測らなくてもいいんじゃないか」という地位を築き上げることです。
が、そんな当たり前のことだけを note や Medium に書いて終わるのも芸がないですし、これまでずっとインハウスの PR Editor として仕事をしてきた自分ならではの視点も交えて、もうちょい掘り下げようという記事になります。
最近は Web 編集者のキャリアの可能性なんていう文脈で、インハウスでのエディターが今後もっと求められるのではといった願望っぽい話がたまに聞かれるようになりました。
ですが、実際に企業が求めているエディター像と、世の中にたくさんいるエディター・ライターのスキルセットやマインドは結構ズレがあると思っています。そのへんを変えていくと、世の中における我々の地位も少しはマシになるはずです。
では Short ver. 終了ということで、ここからは Full ver. となります(文字数は 10,000 字ほどです)
※ この記事は 編集とライティングにまつわるアレコレ Advent Calendar 2017 企画への寄稿?です。
【体験談】事業会社の1人目のインハウスエディターとして入社し、他の職種の人たちとうまく付き合うために必要なスキルと心構え

もしあなたが「ウオッカの味の違いって?銘柄と製法と飲み方とカクテルレシピと激安のおすすめまとめ!」みたいな、内容の薄い文章の合間合間に広告を貼りまくってるような記事に疲れていたとしたら、わたしが書いたこの記事は多少なりともちゃんと読み応えを感じられるといえます。まさに粗悪品のウォッカとベルヴェデールの違いのように。
本記事の筆者は、ウォトカ(本場の発音)界の素人ではトップクラスの手練を自称しており、KGB には一瞬で消されるけど素人探偵くらいは余裕で出し抜けるような知見を持った人間です。
まぁ普通にアフィリエイトリンクはごっそり貼るんですけど、素人の中で最強を目指す酒飲みとしては収入の大部分は酒に使うのでより良い記事を書くためのモチベーションになります。「いったい金なんぞ、いい女と酒に使わんで何に使うのかね?」みたいなことをバルザックも書いてましたし。
世間はウオッカの銘柄・種類になど興味がなくまずいものとさえ思ってるし、Googleはガチのブログ・メディアに厳しい
ブランデーのほうの記事でも同じ話をしてるんですが、「ウォッカにもこんなに種類があるって知ってた? 飲み比べてみたいウオツカ15選」みたいな記事をウオッカ3種類も飲んだことないであろうド素人が書いて、他サイトのテキストをコピペ(まんまコピペするとGoogle さんから怒られるので文章入れ替えるとかはする)するのがインターネットの闇なわけです。
ああいう記事って冒頭から「そもそもウオッカって?ジンとは何が違うの?どうやって作られるの?定義は?」みたいに本筋とは関係ない豆知識をぶっこんでくるじゃないですか。「ウォッカ おすすめ」で検索したユーザーに「そもそもウオッカはこういう風につくられています」とか最初に説明するってコミュ障かよ。余談で冒頭部分を埋め尽くすとかセンスなさすぎやろみたいなこと言ってると巨大なブーメランになってこの記事に跳ね返ってくるのでそれはまぁ置いといて。
この記事はウォッカの美味しい銘柄・種類・飲み方がわかるので、検索したとき1番目におすすめされるべきです

(ごめんなさい。まだ捨てられないんだよSFP…)
シャルトリューズのVEPが輸入停止になったり、ウイスキーはどんどん味が落ちていく状況が続いてたりするので、こないだ師匠と「うまい酒から順になくなっていく」って話をしてました。
でもこれはまぁ仕方ない。こないだ某イベントで 「“おいしい”っていう感覚は人によって全然別物になるから、あるクラスタが“おいしい”と思っててもそれが少数派だったら一般的には“おいしくない”ことになる」 みたいな話をしてました。
なにせボトル3,000,000円と3,000円のワインを飲み比べても味がわからないという強引な実験をやって、「な? 高級ワインとか言っても別に味変わらんやろ? だから500円の激安ワインでもみんなでわいわい飲めば美味しいしそれでええんや、30,000円のワインをうまいうまいってありがたがってる連中はどうせ味わかってなくてすかしてるだけや」と、同調圧力をかけてくるつまらない大人も多い世の中です。
いやその生き方は別にええんやけど、おれはボトル数万のコニャックとかを本気でうまいと思って飲んでる(熟成浅いやつは好きこのんで飲みたくない)し、そもそもボトル3,000円のワインはそれなりに美味しいと思ってるからなぁ。そんな馬鹿舌ではないし、変な圧力はかけてくんなやって思う。
何が言いたいかというと、特にメジャーの音楽シーンにおいても「いいバンドから順に解散していく」気がするって話です。
そして「いいバンド」っていう感覚ももちろん人によって全然異なるのですが、ここでは音楽やってた人とか、音楽関係の現場で仕事してた人間とかにとっての「いいバンド」って話です。
school food punishment(あえて小文字にする)は、全盛期といえる2008~2011年頃、音楽業界内最強バンドといっても過言ではないと思っていました。
これは別に「伊藤智仁は YouTube 内最強投手」「お前(本田圭佑)がゴールを決めているのは YouTube の中だけ by カラブロさん」みたいな皮肉っぽいニュアンスが強いわけではありません。カラブロさんなつかしいな。
SFPはとにかく音楽媒体がライターの熱い想いとともによくプッシュしていたし、めっちゃ音楽聴きこんでますーっていうガチのレビュアーたちも絶賛してたと思います。音楽をただファッション的に消費するのではなく、各々が「いいバンド」の定義を持っているような濃いメンツの中では、非常にSFPの支持率が高かったみたいな話です。
「歪なものは長く形を保てない」「素晴らしいものが素晴らしいうちに終わりにしたくて」という素敵な解散理由
当時、ブログにこんな記事を書いてたのでこちらにコピペして移行しました。
School Food Punishment 解散から5年。同じような理由で個人的おすすめバンドも活動休止してくのでせめて SFP の曲だけは語り継ぎたい

音楽業界はほぼ Musicman-NET にしか求人出さない上に書類は「郵送のみ」だし、その書類も作文とか提出させるし、書類選考に最大一ヶ月ほどかかるとかいうし、ハイスペックな人を求める割には月18万とかの有期雇用だったりするし、面接は三回あったりするしとかいろいろすごい世界やなぁとかいつ見ても思います。
かつて音楽業界の片隅に居た頃にレコード会社の A&R の人たちといろいろ話す機会があったりしたけど、今思い出すとやってる仕事としてメディアリレーションなんかは企業広報と共通する部分もあったなぁと。
だから PR に必要なマインドとか思考法とかは業界共通なところもあると思うけど、音楽業界のあの内輪感・閉鎖感だと普通に事業会社で広報やってた人材とか入ってきづらいし、「音楽の売り方」を健全に議論したり考えていけるんかなーってことが心配になってきます。という話です。
中小レーベル、ブレイク前アーティストは「普通」を排除しないとほぼ売れない時代
実際に、最近だと音楽業界の PR も随分変わってきています。
まずはバンド名や歌詞やボーカルの声質やメンバーの見た目や経歴などに何かしら変なところいれて PR して、大きい舞台に立ってから小手先の個性を捨ててまっとうにロックをやりましょうみたいな売り方、圧倒的に正しいんだがそれもはや「音楽業界総V系化」みたいな話では
? H “araya” Takahashi (@51__araya) 2017年2月22日
僕は「V系化」という言葉を使っています。
「曲名とバンド名、どっちがどっちかわからん」「メンバーがとにかく○○(かわいい、オシャレ、かっこいい、おもしろいなど外見の形容詞)」「声がすごい特徴的で、一度聴いたら忘れられない」「Twitter が面白い」みたいに、音楽性より先に他の要素に言及されるアーティストがやたら増えました。
固定ファンがたくさんついたら宣伝用のフックを捨ててストレートにやり始めて、音楽メディアに「音楽にとことん真摯に向き合った姿勢が伝わってくる今作では、ロックバンドとして階段を一段上がったと思う」みたいに書いてもらうんでしょうね。まぁ否定はしないけど、V系好きって言っていろいろ言われてきた人間からすると複雑なものはある。
たとえば、最近バズった「嘘とカメレオン」とかは新人バンド PR の典型例。
ボーカルが女なのにそれより目がいくところがある最強のバンド発見した
? しずき (@Shiz_Ogu) 2017年2月19日
サウンド好きすぎる pic.twitter.com/bajdYSIKa9
Twitter で約 20,000 RT され、YouTube でも 35 万再生を記録しています(2017年3月頭時点)。
[[MORE]]
バズマーケティングは単に一過性の盛り上がりで終わってしまう事案もたくさんあるので、CD のセールスやライブ動員につながるかどうかはまた別の問題なんですが、インディーズでもそこまで動員できてない新人バンドが仕掛けた PR としては大成功じゃないかなぁと。
音楽の宣伝でも、大手レーベルであればまだ、大金を突っ込んで大型タイアップをつけたり CM を流しまくったりというゴリ押し施策をやって、ある程度のセールスを記録する → 「デビュー作がいきなりこれだけの売上を記録!」と実績を PR してさらに押す──という黄金パターンができます。
中小レーベルはそもそも物量作戦ができませんし、知恵を絞って露出を増やしていく努力が宣伝担当者に求められています。旧来の業界構造を覆すサービスをつくりたいベンチャー企業とかと似てますね。
ベンチャーなんで金もなければ人もなくて、基本的には何もないんで、あらゆることで全て負けているんですね。なので、とにかく平均的なこと、常識的なことを普通にやったら、ひとつたりとも良いことはないんで、とりあえず選択肢から平均的なこと、中央値っていうのを除外すると。
普通に頑張ると普通に負けるだけだから。 自動的に平均的なことを除外するということを早めにちゃんと意識して、自然にできるようになると良いかなというふうに思います。
これすごい大事な発言だと思うので、額に入れて飾っておきたい。
情報を届けること自体は低コストでも可能になったが「音を届ける」ことは非常に難しい、スマホ時代の広報
ただ、大手が得意な物量作戦自体も投資対効果は下降してるので、めっちゃ宣伝費かけたけど普通にフェードアウトしていったというアーティストもいます。成功例だと某家入さんとかで、失敗例だと某妖精アイドルグループとか CA 風アイドルグループとかですかね。古くは「テンションアガルネク~?( ? )?」「ダサパラ」など一部の音楽ファンの中で数々の流行語を生み出した GIRL NEXT DOOR とかありましたね(鈴木大輔ファンなので楽曲はいいと言っておきます。Orion とか Sirent Scream とか(ていうか鈴木大輔さんは後藤真希の華詩とかなんかこう地味なところに名曲バンバン提供しまくっててもっと評価されるべき))。
未だにテレビの影響力は圧倒的ではありますが、これには「セグメントによっては」という注釈がつきます。従来はテレビで PR できていたユーザーの一部がマスメディアから離れ、インターネットの世界で独自コミュニティを作り始めました。
また、インターネットのモバイル化も進んでいます。PCでじっくりネットを見る人が減り、スマホで隙間時間に見る人が増えました。移動中だったり学校だったりすると、音はオフにしてあります。イヤホンを常備してる人は少ないでしょう。
ソーシャルの時代、大量&瞬間消費の時代で、プロアマ問わず作曲家が一番苦労するようになったよなぁ 映像はまだ自動再生で2秒くらいは強制的に見せられるけど、音楽はそもそも端末のボリューム切られてること多いし、PR 施策で使っても効果が出づらいから今後地位が上がる見込みもない
? H “araya” Takahashi (@51__araya) 2016年12月17日
費用をかけなくても頭を使えば、情報を届けること自体はなんとかできます。しかし、ネットサーフィンしているスマホユーザーに「音を聴いてもらう」ことは非常に難しい時代ですので、やっぱりしばらくは “V系” 的な PR 施策で、まずスマホの音量を上げてもらう(音に興味を持ってもらう)という流れになるのではないでしょうか。
そういう意味では音楽の宣伝と最も相性いいのは「映像」なので、SNS でバズらせる動画マーケティング的な PR は今後どんどん予算は取られる(そして死屍累々になっていく)のではないかと。
とはいえ「なぜか売れた」「なぜか売れなかった」は存在しない健全さはある気がする
なんでこんな話をしたというと、メジャーデビュー前から自分がもんんんんのすごくプッシュしてたアーティストが絶賛迷走して解散、みたいな事案がたくさんあるからです。わしはこんな姿見とうなかった…。
有名どころだと school food punishment (SFP)、一応ドラマの主題歌もやってた鴉とかも非常に残念なんですが、特に「PLΛTINUM (プラチナム)」というユニットは残念でした。
3人組ガールズ J-R&B というか要するに着うた系激セツナソングみたいなジャンルなんですが、それがとにかくメロディーセンスキレッキレでアレンジも幅広い上に尖っててそこらの新人とはレベルが違うって感じやったんすよ。
シングルの前にリリースしていた 1st アルバム「LOVE FIGHTER」は、当時流行ってた着うた系激セツナソングから J-R&B っぽい曲、高速ラップとかいろいろ混ざってますが結構名盤だと思ってます。新人アーティストのメジャー1st としてはなかなかのレベル。
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で、デビューアルバムから結構間隔を開けて満を持してリリースした1stシングル「Tears of rain」が個人的ヒット曲で、ラップ封印してまでメジャーに合わせてきたなーこれは宣伝がんばってほしいなーって思ってました。
おそらく PLΛTINUM を聞いたことがない方がほとんどだと思うので、結果はお察しです。まぁ彼女たちの場合はソナポケ師匠みたいに激セツナソング一辺倒で攻めると魅力が半減するし、かといって R&B 要素とかラップ強めのアングラ路線ではメジャーで攻められないし、みたいな葛藤が出てくるからまた別の問題もあるんですが。
ただ、PLΛTINUM が売れなかったことに関しては、宣伝の失敗というよりは企画の問題だと思っています。ファンではあるんですけど、客観的に考えて「需要がない」。つまり、この音楽を求めているユーザーがそもそも少ないと思います。 単純に10代女子に泣ける曲を提供するならギャル要素は必要ないし、ギャルに訴求するにはちょっと素直すぎる(そもそもギャル市場は小さいのでそこに絞ってメジャーで狙うには適さない)。
自分が好きなとこでいうと、鴉、小林太郎、NIKIIE も同じパターン。あと後輩がめっちゃ好きな LACCO TOWER もこのパターンで失敗するんじゃないかって話をしてます。鴉とか、ロキノン系にもV系にも好かれなさそうなどっちつかず感がすごいので詰んでるとしか(大好きなんですけどね)。
広報・PR というか Web マーケティング的に考えると、施策のポイントは「誰の、どの財布(予算)からお金をもらうか」です。PLΛTINUM などの場合、レコード会社がどんなペルソナをイメージしていたのかわかりませんが、マーケの失敗例でよくある 「そんなペルソナはいない」 事案だったのではないかと思います。
SFP の場合は、インディーズ時代の路線なら数は少なくても熱狂的に支持してくれるファンはいたものの、メジャーデビューしてもっとファン層を増やそうとして 「新規ファンとして考えていたターゲットに刺さらず、路線を変えたことで古参のファンからも見放された」という音楽業界あるある に該当すると思っています。この切替がうまくいったアーティストもいるんですけどね。ナオト・インティライミとかシドとかRADWIMPSはそんなイメージ。
売れないには売れないなりの理由があるということは常々感じています。このへんは、事業会社の広報担当者がよくある「プレスリリースつくって日経新聞のせろって言われたけど、このネタで日経本紙は無理ってわかりきっててつらい」みたいな事案と近いと思います。
ある程度の経験を積んでくると、プレスリリースが完成したときにだいたい反響が読めるわけですよ。でもそれを開発メンバーとか偉い人に言っても伝わらないんですよね。
広報的には今回は弱いネタだな~と思ってても、広報の感覚を持ってない偉い人とかには、「これ日経新聞に載せたいよね」とか「TechCrunch とか取り上げてくれないかな?」とか無茶振りされることがあります。そんなときはいくらプレスリリースの書き方とかにこだわっても、期待には応えられません。
現場と宣伝担当者で対等な関係を築けなければ音楽はなかなか売れない
自分のモットーであり、最近の広報のポイントといわれる「プレスリリースから逆算して企画を考える」ってプロセス、つまり上流工程からの広報・PR って、音楽業界やとどうなるんかなぁとか考えていた。
まぁ音楽業界はまだまだ企業体質がクラシックってのもあるので社内調整が難しそうではありますが、それ以前に根本的な問題があると思います。
じゃあ新人バンドを宣伝してくださいって状況になっても、たぶん弾はすべて揃えられた状態で、補給とかカスタマイズが許さないという状況のほうが多いんじゃないでしょうか。
PR とか マーケター的な考えでいくと「あのテレビ出させたいけど歌詞はもっとこんな感じじゃないと難しいのでは」とか色々意見を出したいわけです。
PRマン「歌詞とか曲名もうちょいいじりませんか」
かつてヒットを連発したプロデューサー様「は?なんか文句あんの?」
レコード会社の上司様「お前はまだまだ分かってないな…(呆れ)」
PRマン「こういう見た目で素材写真作りませんか」
アーティスト様「それはごもっともだけど俺の考えは違った」
PRマン「とりあえず今ある素材で売り込んでみるか…」
アーティスト様「飽きたから髪型変えました☆ 画像系全部差し替えね☆」
PRマン「あばばばば」
まぁ別に Web 制作会社でも頭固い無能なプロデューサーとか無茶ぶりしてくるクライアントはいますけどね。
広報宣伝担当者はコミュ力、折衝能力がかなり大事(他に特化していい能力もあるけど、折衝に特化したタイプの人材はかなり価値がある)っていわれますけど、対アーティスト、対レコード会社の偉い人になるとなかなか厳しいと思います。特に実績ある場合ね。
下手したら、なんかこう絶望的に何も変えられないまま最下流でメディアへのテレアポとかだけさせられそうなレイバーが求められてるかもしれない。片隅にしかいなかったけど音楽業界こわい。
とはいえレコード会社の社員さんって週休0.5日くらいで、最下流に落ちてくるタスクさばくだけでいっぱいいっぱいみたいなスケジュールだと思うし、上層部にかなりの切れ者がいないと、現場から変えていくってのはなかなか難しいのかもしれないなぁ。そもそも業界内移籍ばっかだから会社に知見貯まらなさそうだし。
結局何を考えるにしても「音楽業界の闇は深い」で締められてしまうのがマジで闇の部分だと思う。いやほんまこの先どうなるんやろあの業界。
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(本記事は2015年4月に作成したものに大幅な加筆修正を加え、2017年3月に更新しました)
音楽・CDが売れないのはレコード会社の宣伝・PR担当者の問題か、業界の構造のせいか
(2015年3月作成 / 2017年3月追記)

数年前から自分で「ライター」と名乗ることは禁止して、代わりに「PR Editor」とかいうハイパーメディアなんちゃら的な肩書を名乗りだした。
これはこれで純粋に「ライター」を探している人には刺さらないみたいなデメリットもあるけど、未来を見据えたら悪くない戦略なんじゃないかと思っています。
メディアとライター増えすぎてて差別化がきつい問題
とにかく最近は「ライター」が増えた。「メディア」が増えたことが大きな原因だけど、最近 Wantedly とかすごいよね。「○○なメディアを一緒に作っていきたい学生ライター・インターン生をウォンテッド!!」みたいな求人が溢れてる。(※ちょっと前まではランサーズとクラウドワークスに溢れてたのが、クラウド→内製化の流れもあって自社で人件費の安い素人ライターを抱えるようになったのも大きい)
で、そんな中で、「素人大学生ライターと “明確に” 差別化できないと同列に扱われて買い叩かれてつらいだろうな…」 と感じたのと、純粋にライターとしての自分にさほど自信を持ってない(ディレクション、マーケティングのほうが強い)のと、「ふーん、ライターねぇ。そこらのクソメディアの PV 稼ぎに付き合ってるの?」みたいな誤解をお手軽に回避できるってことで、数年前に「ライター」という肩書を捨てました。



